なぜコンビニおにぎりは「鮭、ツナマヨ、昆布」が人気なのか?

2017.1.15 13:05

 普段何気なく選び、食べているおにぎり。コンビニなどでよく選ぶお気に入りの具があるという人も多いのでは? いくつかのアンケート調査では、好まれるおにぎりの具がはっきり現れている。その日本人が好む定番の具と、それぞれの人気の理由や、おいしさの魅力を専門家に伺った。

■日本人はどんなおにぎりがお好き?

 2014年度に一般社団法人おにぎり協会が行った「おにぎり調査」で、主要コンビニエンスストア3社で人気のおにぎりが判明している。セブン-イレブンでは、ツナマヨや紅鮭、赤飯がベスト3に入った。一方、ファミリーマートは焼き鮭、ツナマヨ、昆布がランクイン。ローソンもツナマヨ、昆布、焼鮭ハラミが人気だという。

 また、マイボイスコムが2015年7月に行ったおにぎりに関する自主調査では、好きなおにぎりの具のランキング結果が分かる。1位は鮭で67.8%、2位はたらこで47.8%、3位は辛子明太子で45.5%、4位はツナマヨネーズで43.0%、5位は昆布で42.3%となった。おにぎりの具で最も素朴といえる梅は6位の40.0%となった。

 ちなみに、地域別では、北海道はいくら、東北は焼きおにぎり、中部は天むす、九州は高菜などが目立っていたという。

■そもそもおにぎりっていつからあるの?

 ところでこの日常的に食べているおにぎりは、いつから日本で食べられているのだろうか? おにぎりの日本における発祥は、平安時代に食されていた「頓食(とんじき)」だったという。頓食とは、玄米を「強飯(こわめし)」と呼ばれる、蒸し上げてつくるものを、卵形に握り固めたものだ。もちろん、今のおにぎりのように、海苔は巻かれることはなかった。その後、戦国時代には携帯食として使われていたそうだ。

 海苔が巻かれるようになったのは、江戸時代の元禄時代だといわれている。これが、現在のおにぎりの形の発祥のようだ。そんな日本に古くから根づくおにぎりは、腹持ちもよく、中に具を入れられることから栄養面も補てんでき、携帯食としても便利で手軽に食べられるところも魅力だ。

■お米の専門家に聞く!鮭・ツナマヨ・昆布が人気の理由

 そんな当たり前のように存在するおにぎりの魅力を、専門家はどう分析しているのだろうか。お米マイスターであり、ごはんソムリエでもある澁谷梨絵さんに聞いてみた。

「おにぎりの魅力は、何といっても、手軽で簡単にバランスの取れた栄養素を摂ることができるということ。日本のファーストフードと呼ばれるおにぎりは、1個で主食、主菜を摂ることができ、さらには、海苔やお塩のミネラル分まで補えてしまう、他の食事には真似できないバランス栄養食であるといえます。最近、EXILEメンバーが実践して話題になった“おにぎりダイエット”も、ごはんとおかずが一緒に摂れ、栄養価に優れた食事であるからこそ注目されているのだと思われます」

 では、数々のアンケート結果で分かった、日本人に特に人気の「鮭・ツナマヨ・昆布」の具材は、それぞれ、なぜそこまで人気があるのだろうか? そのおすすめの食べ方もあわせて教えていただいた。

●鮭が人気の理由

「鮭はご飯との相性が抜群に良いからだと考えます。日本人の朝食というと鮭が思い出されるくらい、大人から子供まで幅広い層に人気があり、甘鮭から塩鮭など味わいも豊かで、季節によって旬が味わえるからこそ、変わらぬ人気を誇っているのだと思います。また、日本人のソウルフィッシュでもある鮭は、リーズナブルで安定して購入できることからも安定して愛される理由であると思います。

 おすすめの食べ方は、鮭のほぐし身、キュウリ、お酢、ゴマ、お塩、少量のお砂糖を混ぜて握った鮭のさっぱりおにぎりです。野菜もお酢の栄養価もさらにはゴマの栄養価も摂ることができ、お酢の作用で劣化しにくいので、遠足などにもおすすめです」

●ツナマヨが人気の理由

「ツナマヨが愛される理由は、こってりとしたパンチの効いた味わいにあると思います。若い方には特に人気のツナマヨは、どんな食材とも割と相性が良いのですが、最も合うのは、ツナマヨの“こってり”とご飯の“あっさり”の味わいが上手に調和するおにぎりではないかと思います。人気の理由は、この優れた調和にあるのではないかと思います。また、マヨネーズを和えるという現代風の味わいが、昔ながらのおにぎりの枠を超えて、より幅広い層への人気を広げているのだと思います。

 おすすめの食べ方は、ツナマヨに大葉とみじん切りにした梅干しを少量混ぜるおにぎりです。ツナマヨのこってり感が和らいで、老若男女問わずに愛される味になりますよ」

●昆布が人気の理由

「昆布が愛される理由は、ごはんの旨みをより引き立てる濃い味付けであるからだと思います。海藻の旨みがたっぷりと含んだ昆布は、ごはんの旨みの正体であるグルタミン酸を多く含んでいるため、おにぎりで一緒に食べるとより一層旨みが感じられます。ご飯と昆布は旨み成分を引き出し合うのでとても相性が良く、愛される具材になっているのだと思います。

 おすすめの食べ方は、昆布とスライスチーズを一緒に入れて握るおにぎりです。チーズのコクが昆布の濃い味を和らげて、優しくてとってもおいしいです」 おにぎりそのものの魅力と共に、それぞれの具材でさらに楽しめる、実に奥が深いおにぎり。最近食べていない、という人は、ぜひその伝統の味わいを再度確かめてみてもいいのではないだろうか?

 澁谷梨絵

日本で唯一の穀物のプロフェッショナル資格(5ツ星お米マイスター、ごはんソムリエ、雑穀エキスパート、薬膳インストラクター、雑穀マイスター、発酵食スペシャリスト)を持つ女性米屋。全国各地を自身で歩いて探し出したこだわり米を百貨店で販売し、且つ、女性の目線で日本人古来の米が持つヌカや麹の発酵技術を使った弁当・お惣菜を販売。米・雑穀・麹の第一人者。

取材・文/石原亜香利

※記事内のデータ等については取材時のものです。

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