世相反映?“桜商戦”花盛り 酒や弁当、タクシー観光…

2018.3.27 06:00

 東京都心部で桜が満開となる中、小売業界などのお花見商戦がピークを迎えている。平昌五輪・パラリンピックでのメダルラッシュや賃上げの広がりなど明るい世相を反映してか、「花見弁当の予約が昨年より15%多い」(西武池袋本店)と喜ぶ声も。桜目当ての訪日客に向けた新サービスも相次ぎ、関連ビジネスは百花繚乱(りょうらん)の様相だ。

 タクシー大手の日本交通は、都内の桜の名所をめぐる貸し切りタクシーを4月8日まで運行中。乗客6人までの大型車で飛鳥山公園(北区)や上野山(台東区)などを回る。

 料金は3時間1万4950円(30分延長2420円)で、車内飲食も歓迎。「移動や駐車場探しの手間を省ける上、運転手による最新の開花状況を参考に回れる」(担当者)のが売りで、訪日客や高齢者のグループに好評という。

 旅行大手のJTBグループは、訪日客向けに奈良県の吉野山や「東北三大桜」など南から北まで約40ツアーを展開。「訪日予定に合わせ、5月下旬まで提案したい」(同社)と意気込む。

 インターネット上の口コミ情報を分析するトレンドExpress(東京都千代田区)が、中国版ツイッター「微博」などで「日本の桜」「花見」に関する書き込みを調べたところ、2月の書き込みは約1万9000件と前年同月の2倍を上回った。

 昨年の訪日客数を月別にみると7月、10月に続き4月が3番目に多く、桜人気の高さをうかがわせる。

 日本百貨店協会の山崎茂樹専務理事は「春節(中華圏の旧正月)の売り上げアップ効果より、花見観光の方が大きくなりつつある」と指摘。松坂屋上野店は中国で注目度が高いリアルタイムの動画配信を使い、人気商品や上野公園の桜などを紹介して来店を呼びかける。

 一方、花見にかける日本人の意欲も今年はひときわ強いようだ。アサヒグループホールディングスが2月に2650人の回答を得たネット調査では、花見に「行くつもり」と答えた人の割合は前年比1.9ポイント増の59.5%。東日本大震災後で2番目に高かった。同社は「昨年末からの寒波や相次ぐ大雪が、春への期待を高めたのではないか」としている。

 花見に欠かせないのが食事。西武池袋本店は、料亭が監修した定番の重箱弁当に加え、仲間同士で料理を持ち寄るニーズに着目したオードブルセット(1080円)を3月28日売り出す。和風やベトナム料理など10種をそろえた。大丸東京店も、桜の香りのゼリーとプリンを重ねた「富久屋さくらプリン」(280円)など6種の季節限定スイーツを28日発売する。

 花見といえばお酒を思い浮かべる人も多いだろう。日本酒造組合中央会のPR拠点「日本の酒情報館」(同港区)では、全国の桜を仮想現実(VR)で見物しながら、花の酵母で醸造した日本酒など20種(30ミリリットル100円から)を利き酒する「エア花見」を30日まで楽しめる。日本酒ファン拡大につなげたい考えだ。(山沢義徳)

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