豚コレラ、岐阜県に衝撃 「耳なじみない伝染病」に風評被害を懸念する声も

2018.9.10 08:31

 岐阜市の養豚場で、国内では平成4年年以来となる豚コレラウイルスの感染が9日確認され、岐阜県や周辺住民に衝撃が走った。「耳なじみのない伝染病なので、不安に思う人は多いかもしれない」。県は拡大を防ぐため殺処分などの対応に追われた。風評被害を懸念する声も上がった。

 県は9日午前6時半ごろ、防疫対策本部会議の初会合を県庁で開催。古田肇知事は「作業を進める中で想定外の事態もあり得る。各部局が一致団結して作業を進めてほしい」と呼び掛けた。

 現場はJR岐阜駅から北東に約8キロの住宅と畑に挟まれた一角。豚約600頭の殺処分は同日午前8時半ごろに始まり、白い防護服に身を包んだ県職員らが慌ただしく出入りした。薬剤が飛散するのを防ぐために豚舎の周囲はブルーシートで覆われており、中の様子はうかがえなかった。

 ウイルスの感染経路は分かっていない。現場の半径10キロ圏内には岐阜市や各務原市に別の3カ所の養豚場があり、県は豚の移動や出荷を禁止した。周辺道路の駐車場などに消毒ポイントを設け、県職員が関係車両のタイヤに消毒液をスプレーで吹き掛けた。

 現場の南側には住宅街が広がり、住民も不安の表情を浮かべた。県が近くの公民館で開いた説明会には約50人が出席。担当者が人間には感染しないことなどを説明した。団体職員篠田悦利さん(64)は「早く収束してほしい」と話した。

 平成29年2月時点で、県内に40の養豚場があり、約11万頭が飼育されている。県畜産課の担当者は「風評被害が出ないよう情報の周知を徹底したい」と話した。

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