【デキる男は住まいから】久々の帰省、散らかった実家に唖然? 親の年齢に合う家事の仕組みを考える

2019.9.23 07:00

 親子の片づけ

 9月16日は敬老の日。久しぶりに実家に帰ったという方もおられるのではないでしょうか。「親の持ち物の多さに驚いた!」「以前はキレイ好きだったのに部屋が散らかっていてショックだった」というご相談が多い時期です。慌てて親子で一緒に片づけをしようとするも、衝突だらけで全然進まない!なんて声がチラホラ。今回は親子で実家の片づけを行う際にスムーズに進められるポイントをお伝え致します。

 片づけられないのは親のせいではない

 トヨタには「人を責めるな、しくみを責めよ」という言葉があります。子供側からすると「お父さんお母さんしっかりしてよ!」と言いたくなりますが、親自身に問題があるのではなく、年齢のつみ重ねに合わせて家事の仕組みを変えられていないだけと考えるようにするとよいでしょう。

 床やテーブルの上にモノが散乱している

 片づけとは「決めたモノの場所にモノを戻すこと」です。これが出来ていないのであれば、「決めた場所」に戻せない理由があるはず。

 収納場所に背が届かない、両手を上にあげるのが億劫、重たい荷物を持ち上げると腰が痛い、など考えられるケースはいくらでもあります。この場合、背の高い収納は空っぽのままになっているはず。ぜひチェックしてみてください。

 「上の収納に置いていると地震などが怖いから、下に置き替えよう!」と声がけを行い、よく使うモノは腰高の位置へ、使用頻度の低いモノは最下段に収納するようにしましょう。収納の扉を開け閉めすること自体が面倒な場合は、扉を開けっ放しにするなど動作のアクション数を減らす工夫も提案してみてください。

 ビフォー↓

 食器棚のガラスの引き戸。腰高のベストポジションなのに使いにくい。

 アフター↓

 ガラスを外してオープンスペースに。毎日使う食器をゆったり収納すると、使いやすさに驚愕!

 家の中に同じものがいくつもある

 例えば同じような文具や調味料、洗剤などがいくつもあるのを目の当たりにすると、子供も心配になりますよね。「また同じものがでてきたよ!」とモノを並べても効果はありません。「買ったことを忘れてしまっている」ことが考えられるので「モノの見える化収納」を心がけてみましょう。

 効果的な声がけと対処

 絶対的な量が多いとモノの有無を覚えていられません。現状のモノを減らすために「絶対に捨てない、分けるだけ」「使いやすくなるように収納しよう」と伝えてみましょう。片づけに着手したがらない親世代も、「捨てない」「使いやすくなる」ことで安心し、耳を傾けてくれるでしょう。

 これは私が親子で文具の片づけをしている様子です。

 分ける作業を行い、見える化を行いました。

 パッと見てわかるように、本当に使うものがゆったりと収納されています。

 何から手をつけるべきか?

 実家の片づけを手伝う際、私が最初にオススメしているのが「薬の収納」です。

 市販の薬には使用期限が明記されている場合が多いので要不要の判断がつきやすいこと、気づかなかった親の体調がわかることが理由です。

 また、座ったまま1時間以内で片づけられるので疲れにくい、使用頻度が高い親世代が「使いやすくなった!」と片づけるメリットを実感しやすいという点も挙げられます。

 今回は親子で取り組む実家の片づけについてお伝えしました。「たまにしか帰省できないから」と押し入れやキッチン・納戸のような大きな場所を大改革したい気持ちはわかりますが、親世代は「モノの位置が変わること」がストレスに感じることも。収納場所は極力変えずに、少しずつ小さいエリアから一緒に片づけを始めてみてください。

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香村薫(こうむら・かおる)

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片づけの専門家
ライフオーガナイザー

大学卒業後、トヨタグループ会社に入社。そこで学んだトヨタメソッドを家事に応用した「トヨタ式おうち片づけ」を提案。片づけサポート業務「ミニマライフ.com」を起業。全国での講演活動、個人宅での片づけサポートを行う。著書に「トヨタ式おうち片づけ」「トヨタ式超ラク家事」(ともに実務教育出版)「トヨタ式家事シェア」(主婦の友社)がある。NHKをはじめTVや新聞・雑誌などメディア出演多数。

【デキる男は住まいから】はライフオーガナイザーでミニマライフ.com代表の香村薫さんが、トヨタ自動車のグループ会社で学んだメソッドを家事に応用し、ビジネスパーソンが今すぐ実践できる「家事シェア」のノウハウなどを伝授するコラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら

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