【5時から作家塾】増えるコロナおじさん・おばさんらの心理状態 もし絡まれたらどうする?

2020.5.21 07:00

 「マスクしない殺人者」!?

 新型コロナウイルスの第2波もピークアウトして減少傾向を見せつつあるも、当面、私たちは「ウィズ(With)コロナ」を余儀なくされそうだ。

 今回の新型コロナが拡大傾向にあるときから全国で“俺はコロナ”と叫ぶコロナおじさんや、自称正義な自粛警察などが増え、余計なストレスを抱えながら過ごしてきた。加えて最近では、コロナおばさんによる迷惑行為も報告されている。いずれの原因もコロナ疲れによるストレスに起因すると考えられる。

 都内でコロナおばさんに絡まれた男性のケースを見てみると-4月末、この日は日中に小雨が降ったため午後以降も気温、湿度ともに高い日だった。

 都内の自営業男性は午後9時半ごろに事務所近くで缶コーヒーを飲んでいた。屋外で自販機脇のゴミ箱近くでだ。男性はコーヒーを飲んでいるので当然、マスクはしていないが、緊急事態宣言発令とゴールデンウィークに入っているビジネス街のため、接する道路を通る人はいない。

 男性がスマートフォンでメールをチェックしていると、いきなり、「マスクしていないなんて信じられない。人殺し!」と女性に罵倒された。見ると、2、3メートル先に大きなピンクのマスクをした50代前半くらいの女性が立っていた。

 男性は、マスクは持っていますよとマスクを胸ポケットから見せるも、

 「マスクしない殺人者!」と叫ぶコロナおばさん。

 ややむっとした男性は、「ここは屋外だし、風も吹いてます。気温も20度を超えているし、湿度もあります。周辺に誰もいないので感染させるリスクは低いですよ」と、理路整然と説明した。

 しかし、コロナおばさんは、聞く耳も持たず、「あんたのせいで大切な家族が殺されてたまるものですか!」と意思疎通ができない。

 男性はこれはダメだと悟り、録音して警察へ相談しようとスマホへ目をやったら、「あんたの家族が死ねばいいんだわ!」と吐き捨てて去っていったという。

 コロナおばさんはその直後、マスクを装着していない眼光鋭い老人とすれ違うも、先ほどとは別人のようにおとなしく通り過ぎた。どうやら言いやすい人間を選んで攻撃していたようだ。

 歪な形で転化されて吹き出した

 自粛警察やコロナおじさん、おばさんの心理状態はどうなっているのか、都内でオンラインサロンを運営するカウンセラーの森田氏(メディアへの露出を希望していないため仮名)は、

 「溜め込んでいるストレスの転化行動だと思われます。これら多くの人たちは、自分は正しい行動をしていると思い込んでいます。自分の内面と対峙することを避け、外へ吐き出している状態でしょう。しかも無意識です。

 ストレスの転化行動には色々あります。趣味に没頭したり、スポーツで身体を動かしたり、買い物をしたりと人それぞれです。今はそれらが制限されていることで、歪な形で転化されて吹き出してしまっているのだと思われます」(カウンセラー森田氏)

 自分は今、大きなストレスや不満を抱えていることを客観的に認識して、自分自身をケアする行動が大切だと森田氏は指摘する。

 たとえば、知人の子どもやペットを代わりに面倒を見てあげたりといったヘルプしたり、SNSへ役に立つ情報を紹介したり、笑顔になる情報を発信して知り合いたちに喜んでもらったりなど、誰も傷つけない肯定的な転化行動を勧めている。

 風がある屋外で1人なら、マスクをしなくても感染させるリスクは極めて低いことは最新の専門家たちの知見を学べば分かることだが、前出のコロナおばさんは、マスクを装着していない=悪人=非難されて当然の行為、と朝のワイドショーでも見て病的に思い込んでいるのかもしれない。

 「一種の思考停止状態で、ストレス解消のため堂々と叩ける対象を無意識に探しているのでしょう」(同)

 遭遇したらどうすればいいのか

 では、このような迷惑な人たちに遭遇したらどうすればいいのだろうか。

 最善策は、距離を詰めず、相手にしないことだ。相手は歪んだ思い込みに支配されているため、理詰めで答えてものれんに腕押し、話が噛み合うことはない。

 相手にしなくても執拗に絡んでくるのであれば、スマホを取り出し相手に向けて、「必要なときのために録音します」と伝えて、演技でいいので録音したふりをして警察へ通報する。

 コロナおじさん、おばさんらは自己客観視ができないので、意思疎通は期待せず、第三者を入れるように誘導するのが効果的だ。

 自粛警察も含めて、迷惑行為者たちは、侮辱罪や脅迫罪などで刑事罰の対象になることも十分にありえる。自粛警察の異常行動については、13日に菅義偉官房長官が言及していることから、近いうちに抑止効果を狙い逮捕があるかもしれない。

 もしあなたがコロナおばさん・おじさんに絡まれたら、その場をすぐに離れて徹底して相手にしないことが最善策となる。(筑前サンミゲル/5時から作家塾(R))

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5時から作家塾(R)

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編集ディレクター&ライター集団

1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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