【グローバルリーダーの育て方】子供の動画視聴時間は悩みどころ ドラゴン家の「デジタル」ルールをご紹介

2020.9.23 07:03

コロナでSociety5.0に現実味?

 コロナの影響で様々な事をリモートでできるよう、世界全体が試行錯誤してきた2020年。ちょっと前までは、政府が提唱する「Society 5.0(ソサエティ5.0)」が、どこかSFの世界で起こることで、はるか遠い未来のことかと感じていました。Society5.0は、情報が溢れている現在(Society 4.0)の課題に対してIoTやAIなどの最新テクノロジーを活用し、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会ということです。この数カ月を経て、世の中がぐっとデジタルサービスやテクノロジーに対して、抵抗がなくなった実感があります。

 皆さんはいかがでしょうか? 以前に比べて「デジタル」に触れる・使う機会は増えましたか? 緊急事態宣言発令中に仕事がリモートになった企業も多く、大人の生活は変わりましたね。

 お子さんの生活はどれくらい変わりましたか? 公立学校が全授業をオンラインで…とまではいきませんが、例えば通っていた塾の授業がZOOMで行われたり、図書館に行けないためデジタルブックを愛用したり、様々な形で生活における「デジタル」の割合が高くなったのではないでしょうか。

適切な使用時間は? 保護者に共通する心配事

 生活の一部になりつつある、デジタルな世界。新型コロナウイルスのワクチンが開発され、アフターコロナと呼べる時が来たとしても、おそらく完全に以前の生活には戻らず、良い変化は生活の一部として定着するのかもしれません。

 私の運営するインターナショナルスクールの保護者や友人から、子供に関して、よく受ける質問があります。

テレビはどれくらい見せていいの?

タブレットやスマホの適切な使用時間は?

パソコンの適切な使用時間は?

 というものです。テレビや各デバイスの画面を見ている時間へのアドバイスを求められることが多いのです。

 結論から申し上げると、子供の年齢によっても異なりますが、

「否定せず、支配されず、良い距離感で愛し楽しみましょう!」

 と私は考えています。

「使う側」になるためのルールづくり

 国としてもSociety5.0を目指すようなこれからの時代、まったくテクノロジーと関わらずに生きていくことはできません。共存する必要があると考えています。しかし、テクノロジーに「使われる側」ではなくて、「使う側」になる意識を持って、上手に付き合う方法をそれぞれが見つけましょう。

 各家庭の環境は違いますね。テレビのあるご家庭、ないご家庭。スマホを持っている家庭、タブレットを持っている家庭、パソコンを持っている家庭など…。デジタルとの付き合い方は人、家庭それぞれです。マイルール、ファミリールールを家族で話し合ってみましょう!

 我が家が実践するファミリールールをご覧になり、少しでも参考になれば幸いです。私の姓が「龍=ドラゴン」なので、「ドラゴン家」としてご紹介させていただきます。

ドラゴン家のルール《1》子供は夕食後に動画タイムが許される

 家庭内でダラダラとテレビを流したり、好きなだけゲームをさせることは、子供の年齢にもよりますがおすすめしません。ゲームも、ダラダラではなく没頭できれば、学べることがたくさんあると思います(一概に「無駄」と言えないところが、ルールを決める上でも、親としてストップをかけるにも、見極めが難しいですよね。) そこで! 我がドラゴン家では、子供にテレビとゲームを許している時間があります。平日の夜のご飯の時間に訪れる、15分間です。

 ドラゴン家では夕食はみんな一緒に食べ始めますが、息子2人がだいたい先に食べ終わります。息子が食べ残さずしっかり食べたら、学校の支度などやるべきことを終えたら、大人が食事をする15分間のみ、動画を見ていいことにしています。この時間は、息子が好きな番組(多くの場合、ヒーローもの)を自分で選んでいます。息子にとっては、毎日楽しみにしているパラダイスの15分間です。15分間だけ許すのはなぜか?

 私と愛するダーリン(夫)と束の間の静かな夕食タイムを確保するためです。(1)夫婦の食事や会話をつくる、(2)息子の「○○ライダーが好き!」という気持ちを謳歌する、そして(3)母国語ではない言語で動画を見て言語を習得する、という3つの目的という“名目”でOKとしているのです。

 現代のママ・パパは、本当に忙しい。自分たちのために、この素晴らしいテクノロジーを使ったっていいじゃないか! と思います。もちろん、この時間が動画である必要はなく、本を読む時間にしてもよいのですが、本だと色々と質問され、読めない単語があると「読んで!」と言われたりと、夫婦ともに食べれなくなってしまいます。なのでドラゴン家では、この15分は「大人が平和に食事する時間」として、動画タイムにしています。

 時間に制限を設けることがカギだと思います。制限がないと、ダラダラと見るきっかけとなるので、必ずアラームで時間設定して鳴らすようにしています。

 そして随時ルールの見直しをする必要もあります。「スマホ子守」になりすぎていないか、食事をするという親の生き残り目的ではなく(笑)、親が楽をするためにだけにやっていないか、時間の長さは適切か、など家族で話し合いをすることがなによりも大事なことだと思っています。

ドラゴン家のルール《2》見ているときや見た後の会話を大事にする

 1つ目のルールのように、平日夜のわずかな時間は子供だけで動画を見たりするのですが、それ以外に動画を見る時は必ず一緒に見ますし、タブレットでゲームをするときには、一緒に画面をのぞきながらプレイしたりします。見ている中で、横であーだこーだ話しながら一緒に時間を過ごします。そうすると、息子からも「あれ何?」とか「どういう意味だろう?」など疑問が出るので、すかさずキャッチして、勝手に、そして無理やり会話にします。息子には、正直うっとうしいと思われていると思いますが…。

 また面白いことに、息子は、動画を見た数日後に、ふとした疑問を発することが多々あります。

 例えば、週末に家族全員で、「サバンナの動物たち」という動画の中で獲物を追いかけるチーターを見ます。そしてその数日後に学校で、飛行機やジェット機などの「空を飛ぶモノ」について学びます。すると、「チーターは世界一速いんでしょ? じゃあジェット機とどちらが早いの?」と質問してくるのです。

 私も主人も、息子が何を見ているかを把握しているため、ピンと来て、息子の知識量を把握しつつ、共通認識の中で会話が進められます。チーターと比較して早そうなモノや動物の話で盛り上がりました。結果、「地球上ではアイアンマンが最速ではないか」というおそらく正しい仮説にたどり着きました。

デジタルデバイスを子供とのコミュニケーションツールに

 ドラゴン家が設けている動画やゲームに関するルール、いかがでしたか?

 科学的な根拠はまったく存じ上げませんが、時間を共有して、一緒に楽しむのであれば、見ているものが本かデジタルデバイスの画面かというのは関係がないような気がします。(「母の勘、科学に勝る」と言ったら科学者の皆さんに怒られてしまいますね。)楽しめて、没頭できて、人とその時間を共有することができれば、タブレットやゲームといった「デジタルなもの」を一概に目の敵にする必要もないと考えています。

 皆さんのご家庭でも、ぜひルールなどをしっかり定めて、デジタルとの上手な付き合い方を探ってみて下さい。

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龍芳乃(りゅう・よしの)

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株式会社G&G 代表取締役

日・英・中のトライリンガル。大学卒業後、PR会社、外資系コンサルティング会社を経て2013年に起業。世界で通じる「人間力」の基礎を育む「GG International School」を経営。「Art to Science」をベースに0歳から小学校高学年まで学べるプログラムを用意し、人格形成の根幹となる揺るぎない自信を育んでいる。2児の母。

【グローバルリーダーの育て方】は、100%英語環境の保育園やアフタースクールを経営する女性社長・龍芳乃さんが、子供が世界で通じる「人間力」「国際競争力」をどう養っていくべきかを説く連載コラムです。アーカイブはこちら

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