2021.4.16 05:12
時代小説「御宿かわせみ」シリーズなどで知られ、今年89歳になった人気作家が、苦楽に彩られた自らの人生をつづっている。
幼い頃、自らの文才を周囲に知らしめるきっかけを作ってくれた賢い愛犬「とみ」の思い出。思いもよらなかった27歳での直木賞受賞と、自分の名前を勝手にかたる“偽者”の出現。そして、恩師である作家の長谷川伸さんが口にした〈生きるということは、新しい価値を生みだすことだ〉という言葉の重み…。
苦難を自然体で受け止め、今を幸せに生きる。そのためのヒントが芯のある、温かな言葉で刻まれたエッセー集。(文芸春秋、1430円)