3次元(3D)のデータを基に複雑な立体物を簡単に複製できる「3Dプリンター」を活用し、患者本人の皮膚などから動脈を作製する技術を、佐賀大学と東京のバイオベンチャー企業が共同で開発したことが1月5日、分かった。
3Dプリンターでの血管作製技術の確立は国内初。作製した動脈は、人工透析や心臓の冠動脈バイパス手術の移植などに使用するといい、佐賀大医学部で動物への移植実験が進んでいる。
安倍晋三政権が3Dプリンターの普及・拡大を成長戦略の柱の一つと位置づけるなど、技術開発推進への機運が高まる中、この“魔法の箱”は製造業だけでなく医療のあり方も変えようとしている。
18年実用化目指す
血管作製技術は、佐賀大大学院工学系研究科の中山功一教授(先端融合医工学)と、パナソニックで携帯電話の開発などに取り組んだ経験を持つ口石幸治(くちいし・こうじ)氏が2010年8月に設立した再生医療バイオベンチャー企業「サイフューズ」(東京都文京区)が共同で開発。