小6女児殺害事件が起きた佐世保市大久保地区の連合町内会長の武冨龍二さん(89)はこう話した。武冨さんによると、事件から10年を迎えた先月1日には、事件現場の大久保小で「いのちを見つめる集会」が開かれ、住民ら約300人が集まり、亡くなった女児=当時(12)=の冥福を祈り黙祷(もくとう)したという。
非行防ぐ試みも…
佐世保市は事件の翌年から、6月を「いのちを見つめる強調月間」とし、毎年、各小学校で命の尊さを学ぶ講演会や、道徳の公開授業などさまざまな行事を企画してきた。
県教委も事件の翌年から、子供が感情を表に出せるかなど「危険信号」を数値化して、未然に非行を防ぐ試みを始めていた。事件後、県内の大人が電話で子供の声を聴く「チャイルドライン」も開設していた。
長崎県教育委員会は今回の事件を受け27日、関係職員を緊急招集し、対策本部を立ち上げた。生徒への心のケアのためスクールカウンセラーを派遣したり、保護者への対応に乗り出すという。長崎県児童生徒支援室の安永光利課長補佐は「痛恨の極みだ。命の大切さは最重要課題として取り組んでいたのに非常に残念。具体的に何をしたらよいか、今は考えつかない」と言葉を失った。