日本では、「人食いザメ」と恐れられている「タイガーシャーク」(イタチザメ)。他のサメたちより、ひと回りもふた回りも大きな体格に、縦に走るトラ模様が特徴のこのサメが姿を見せると、一瞬にしてその場に緊張感が走る。
しかし、ここにいるダイバーたちは皆、このサメから逃れようとするのではなく、逆に向こうが接近してくれることを望んでいる。できることなら、ぶつかってきてもらいたいと願っているくらいだ。
10年前までなら、考えられなかった光景だろう。しかし、今ではこのタイガーシャークと泳ぐダイビングは、欧米人ダイバーを中心に人気のダイビングとなっている。
場所は、太平洋のバハマ連邦共和国海域。私が毎年夏にイルカと泳ぐ海でもある。冬の時期が、このタイガーシャークダイビングのベストシーズンだ。
水深5、6~10メートル程度の浅い砂地の海底に、サメたちは集まってくる。
魚の切り身をすり潰してスープ状にしたものを入れた容器に、ポンプで海水をくみ上げて循環させて、それをホースで海に流し続ける。そして、船尾には、ロープでくくり付けた餌付け用の魚の切り身が詰まったカゴを海中に沈める。あっと言う間に、魚やサメたちが群がってくる。