520人が亡くなった1985年の日航ジャンボ機墜落事故は12日、発生から30年を迎えた。遺族や関係者は墜落現場となった「御巣鷹(おすたか)の尾根」(群馬県上野村(うえのむら))に慰霊登山。歳月に思いをめぐらせながら犠牲者を悼み、空の安全を願った。夕には麓の「慰霊の園」で追悼慰霊式が開かれた。
高齢遺族の増加や日航社員の世代交代で事故の風化が懸念されている。一方、事故を直接知らない遺族や交通機関の関係者らが尾根を訪れ、教訓を受け継ごうとする動きも出てきている。
遺族らは尾根の墜落地点にある「昇魂之碑」の前に集まり、黙祷(もくとう)。遺族でつくる「8・12連絡会」の美谷島(みやじま)邦子事務局長(68)は「技術が進歩しても、安全を守るのは一人一人の意識だ。これからも命の重さを伝え続けたい。若い人も御巣鷹に来て、目に見えない思いを感じてほしい」と話した。
日航の植木義晴社長も尾根に登って献花し「遺族や関係者に30年間にわたり多大な苦しみやご負担を掛けてしまい、おわび申し上げます」と語った。日航によると、慰霊登山した遺族は106家族406人。尾根の登山者数は天候にも左右されるが、過去の8月12日と比べ最多だった。