【本の話をしよう】
正直にいうと、書店に溢れる名言集の類いには気を付けなきゃいけないと思っている。それが、ニーチェのものであれ、シェークスピアのものであれ、カーネギーのものであれ、原典にまでたどりついてもらえればよい。けれど、その短い一文だけを読み、その言葉の主の思想や物語が分かった気になってしまうところが名言集にはある。
検索型の世の中は、コンテンツ同士の時間の奪い合いでもあるから、なるべく短時間で神髄に到達したい人の気持ちはよくわかる。けれど、簡単に手に入れたものは、簡単にこぼれ落ちてしまうものにしかならないとも思うのだ。
と、偉そうに宣(のたま)った僕であるが、つい先日、名言集をつくってしまった。説得力ゼロである。だが、この企画の話があった時、何が何でもやりたいと思った一冊だったのだ。