ウエアラブル、車載IT、3D…技術競演 世界最大の家電見本市「CES」 日米韓中が火花

2014.1.9 09:30

 1月7日開幕した世界最大の家電見本市「インターナショナルCES」で、家電・情報機器メーカーは、体に装着できる機器を相次いで発表した。「ウエアラブル(身に着けられる)端末」と呼ばれ、スマートフォンに次ぐデジタル機器の主役として期待されているからだ。日本や米国、韓国のメーカーが激しく技術を競い、中国が追う。

 20倍の市場に

 「活動を記録することで、生活を豊かにできる」。ソニーの鈴木国正執行役はスマートフォンを活用しながら歩数などを計測するリストバンド型端末を発表。ウエアラブルに本格的に取り組む姿勢を示した。

 セイコーエプソンはリストバンドや腕時計型の端末を今夏に米国で発売する。カシオ計算機もスマートフォンと連動する新製品を展示した。

 MM総研によると、世界のウエアラブル市場は2013年度の560万台から、20年度には1億2000万台を超える見通しだ。現在は腕時計型が中心だが、身に着ける場所や機能は広がるのが確実。日米韓のメーカーを中心に新製品の販売が本格化する。

 米半導体大手インテルは心拍数を測るイヤホンなどの試作品を発表。クルザニッチ最高経営責任者は「大きな可能性がある分野」と期待する。韓国のLG電子も参入を表明した。中国の中興通訊(ZTE)は、腕時計型の端末を発表した。

 IT業界関係者は「ウエアラブルはファッション性を高めることが課題だ」と指摘する。

 自動車も主戦場

 家電メーカーのテレビやスマートフォンが目玉だった従来の見本市と様変わりし、自動車メーカー9社が出展して車載ITをアピールした。

 「車の未来がここにある」。米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の幹部は強調した。通信大手AT&Tと組み、高速通信「LTE」を使って、多くの「シボレー」ブランドの車の中で無線LANを使えるようにする。

 ドイツのアウディは、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を利用したタブレット端末を初公開した。ダッシュボードに備えた端末は取り外し可能で「2年以内に実用化する」(幹部)という。

 今回初めて展示ブースを設けたマツダは、昨年(2013年)秋に発売したマツダ3(日本名アクセラ)に搭載した技術を紹介。フェイスブックに届いた投稿を読み上げたり、ネットラジオを聞いたりできる。

 実物そっくりの立体をつくる「3Dプリンター」の注目度も高く、約30社が集まった一角には人だかりができた。中国勢の躍進も目立ち、海信集団(ハイセンス)やTCL集団が広めのブースで高精細テレビなどを展示した。(共同/SANKEI EXPRESS)

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