「自分のストーリー語る」すばらしさ ハンター・ヘイズ

2014.5.14 15:00

 「『ストーリーライン』が一番気に入っている曲さ。“ルールを決めずに、特に期待もせずに自分の人生を生きて楽しもうよ”という考えを祝い、“自分自身のストーリーを書こうよ”という内容も気に入っている。ブルーグラスのサウンドもハーモニーもいいしね。しかもこの曲にはエネルギーを感じるんだ」

 これをアルバムタイトルにした理由も話す。

 「人は誰でもその人だけの話を持っていて、そして誰かのストーリーを聞いたり、自分のストーリーを語ることができる。それは僕たちの人生の中で最もすてきなことの一つだと思う」

 以前もご紹介したが、弱冠22歳のハンター・ヘイズの活躍が目覚ましい。2年連続でグラミー賞にノミネートされ、授賞式で演奏。そこで披露した新曲「インヴィジブル~キミはひとりきりじゃない~」では、“居場所がなくても、夢を追って自分を信じていけば、やがて状況が変わってみんなと分かち合える時がくる。その時に今の苦しみは見えないものになっているだろう”と歌い、全米の若者から多く支持された。

 「あの歌は僕の物語。僕は学生時代、音楽に夢中でみんなの輪に入れなかった。でも結局、今僕はここにいるから、人と変わっていることは良いことだって気づけたんだ」

 曲作りは3D感覚

 曲作りについて、「最初はシンプルな環境でギターやピアノで書き、そこから想像して解釈を加え、青写真を3Dモデルに変えていく感じ」と話す。連日ツアーがあるため、ツアーバスの中にスタジオがあるそうだ。

 「『フラッシュライト』では、“奇跡は毎日起こっているもので、気づかずに過ぎ去ってしまっているだけなんだ”と歌っているけど、全て実体験から感じたことばかりだから、相手に伝わりやすいんじゃないかな」

 希望を与えてくれる歌詞に、胸にグッと迫るメロディー、しかもサウンドが良ければ、人々から好まれるのは当然だ。

 「僕がカントリーミュージックに恋をした理由の一つは、マンドリンやスチールギターといった質感は、僕を本当にハッピーにしてくれるからさ」

 アメリカではカントリー界の期待の星といわれるが、その活躍はジャンルに押し込めるにはもったいないほど才能にあふれている。日本でブレークするのは時間の問題だろう。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS)

 ■Hunter Hayes 1991年、ルイジアナ州生まれ。2歳から楽器を手にし、7歳の時にホワイトハウスへ招かれ、当時のビル・クリントン大統領の前で演奏した。16歳でカントリーミュージックの本場、ナッシュビルへ移住。デビューアルバム『ハンター・ヘイズ』は全米で100万枚を超すヒット。今夏フジロックフェスティバル’14、および7月22日大阪、23日東京で単独公演決定。

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