ゆっくり食す 和モダンなフレンチ ブロン・ロネリ

2014.9.2 14:00

 【京都うまいものめぐり】

 京都御苑の南に位置する「ザ・スクリーン」は、国内外のクリエーターがデザインした新しい概念のホテル。京都ミシュランガイドの宿泊部門にも5年連続で掲載されるなど高く評価されている。そのホテル内のフレンチレストラン「ブロン・ロネリ」で供されるのは「フレンチ」と「和」が融合したクリエーティブな料理の数々。連日、多くの客をうならせている。

 坪庭、ふすま絵…

 開放感あるラウンジを通って「ブロン・ロネリ」に入ると、まず目に飛び込んでくるのは天井に描かれた四季折々の花…。

 黒を基調にした店内は、ししおどしのある坪庭や龍のふすま絵など和のテイストが効果的に演出され、そこにフレンチレストランならではの真っ白なクロスがかけられたテーブルがゆったりと配される。まさに“和モダン”な雰囲気だ。

 「お料理も“お箸で食べられるフレンチ”をコンセプトにしています」と料理長の中平泰正さん。前菜は焼きなすのムースとアクアソルトとコンソメのジュレ、北海道産のウニが三層になっていて目にも涼しげ。なめらかなムースは焼きなすの味をしっかり残し、三者がそれぞれを引き立て合い、舌の上で絶妙のハーモニーを奏でる。

 花畑のような美しさ

 続いて、フレンチの醍醐味のような一品「季節の京野菜と鮮魚のテリーヌ」。お花畑のような美しさに、ナイフを入れるのがためらわれる。ぷりぷりした魚介の食感とともに、やさしい風味が口の中に広がる。

 「ホタテ、マグロ、真鯛は昆布で締めてマリネしています。野菜は出汁(だし)でボイルし、つなぎのジュレも出汁で作っています」と中平さん。一見、クラシックなフレンチと思いきや“和”の仕事が随所に。赤のソースは赤スグリを、緑のソースは鮎蓼(あゆたで)を使い、さわやかな酸味が食欲を増進させる。

 みその辛さ、アクセント

 メーン料理は「神戸牛の網焼き」。添えられたもろみみそを少しつけて食べる。みそのぴりりとした辛さがアクセントとなり、肉の旨さを引き立てる。

 肉専門店ならともかく、神戸牛を安定して提供するレストランは珍しいそうだが「日本に来たからには神戸牛を!」と、神戸牛にひとかたならぬ思いを抱いている海外の客が多く、その期待に応えようと仕入れルートを確保したという。

 老舗の抹茶を使って

 さて、デザートは別腹。京都の老舗茶舗「一保堂」の抹茶を使用したニューヨークチーズケーキは、甘さとほろ苦さのバランスが抜群で、あっという間に完食してしまった。今回の取材では、ディナーメニューからアラカルト(単品料理)をいただいたが、昼夜ともに数種類のコース料理もある。

 フレンチでありながらも和を生かした料理と空間デザインが見事に調和。「隠れ家的な雰囲気で、ゆっくり食事を楽しめるとおっしゃってくださるお客さまが多いですね」と「ブロン・ロネリ」マネジャーの筒井一世さんが話す。

 5階のオープンテラスでは、川床ならぬ“そら床”を期間限定(5月上旬~10月上旬)でオープン。「ビアガーデンではなく、シャンパンガーデンです」と筒井さん。“そら床限定プレート”やアラカルトメニューとともにお酒を楽しめる。

 非日常的な空間で一流の料理を堪能する「最高のぜいたく」をぜひ味わってもらいたい。(文:杉山みどり/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS)

 ■ブロン・ロネリ 京都市中京区寺町丸太町下ル下御霊前町640の1 ザ・スクリーンB1F。(電)075・252・1215。ランチ=午前11時30分~午後3時(LO午後2時)、ディナー=午後5時30分~10時30分(LO午後9時)。ランチコース2400円~、ディナーコース5500円~。価格はすべて税・サービス料込み。※予約した方がよい。

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