【CAのここだけの話♪】〈世界一のダイバーシティ-?〉中東系航空の驚きの環境
SankeiBizの読者の皆さんだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第11回は、カタールの航空会社にて乗務6年目の佐藤聖子がお送りします。
みなさんはカタール、そして中東諸国に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。石油で潤っているお金持ちの国、広大な砂漠、そしてイスラム教。日本人には少し想像がつきにくく、中には中東という地域に対して少し不安な印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。今回は、実は非常にインターナショナルな中東系エアラインに在籍する筆者から見た多国籍な環境についてご紹介したいと思います。
▽カタールに100カ国以上からCAが集結!
カタールは人口おおよそ200万人ほどの中東の小国ですが、現地人であるカタール人はその20%にも満たず、全人口の80%以上が外国人で占められています。実際ドーハで生活していて目にするタクシー運転手、ホテルや・飲食店の従業員、またそこに訪れる人々の国籍は本当に様々です。そのため、アラビア語と共に英語が公用語として使用されています。
そんな中東の航空会社で働く客室乗務員達の国籍もまた実に様々です。筆者の在籍する会社では100カ国を優に超える世界中から採用されたクルーの全員が、ドーハをベースにして国籍に関係なく全路線に乗務しています。ヨーロッパ、アジア、アフリカ、そして南北アメリカと、世界中どの地域にもアクセスの良い中東。その地理的アドバンテージもあり、就航都市は世界150都市を超えています。
日本の航空会社ならばお客様は基本的に日本人、アメリカの航空会社ではアメリカ人のお客様が多いと思いますが、中東系のエアラインでは搭乗されるお客様の国籍も多岐に渡ります。ゆえに多国籍の乗務員を揃える事は会社としてもメリットがあるのです。パイロットの一部を除けば、カタール人のCAが居ない事も外国人を採用する理由のひとつです(少なくとも筆者は6年間で一度もカタール人CAに出会ったことがありません)。
▽CAもハッキリと自己主張します!
国籍も文化もバックグラウンドも違う、真の“ダイバーシティ(多様性)”を体現する環境で働くとは一体何なのか。それまで日本から出たのは数回の海外旅行のみ、日系企業で日本人と働いた経験しか無かった筆者が入社後のトレーニングでまず言われたのが「もっとアサーティブ(assertive)になりなさい」という事でした。つまりハッキリと自己主張しなさい、という事です。
客室乗務員の仕事はサービスが中心に見えると思いますが、実はトレーニングで最も時間を割かれているのはセーフティーなのです。機内の安全に関わる場面では、お客様といえども強くハッキリした口調でお話ししなければならない事もあります。その相手の国籍が様々となると言うまでもありません。文化的に曖昧な表現を好む日本人には少し難しい部分もありますが、これは外国人と働く上でも活きる事です。
私達は毎フライト全く別のチーム編成で仕事をするので、国籍の異なる初対面の人とスムーズに連携を取らなくてはなりません。何かに納得できない場合も含め、上司や部下、先輩後輩は関係無くハッキリ物事を伝えた方が良い場面もあります。フライト前の打ち合わせでは「Please/Thank you/Sorry」等を意味する「“Magic Words”を使おう」という声をよく聞きます。国によって言葉の使い方も違うため、この基本を意識することでマナーを守ろうという取り組みです。また、お互いを尊重しつつ意見を交わす上でのポイントは、違いを認める事、そしてセンシティブになりすぎない事です。例えば実際に働いていて、少し怖いなぁと感じる地域の人々が居るのは事実です(笑)。でもよく見ていると、「言い方がキツイだけで悪い人ではないんだ!」と思うこともしばしば。
▽クルーから文化の違いによる面白い話を聞けるかも
そしてこれは雑談をしている時にも感じることですが、外国人は基本的に自分の意見に自信を持っていて、人からどう思われるかを日本人ほど気にしていません。彼らは意外とサッパリしているので、自分をしっかり持っていれば人間関係はとてもフラットで働きやすい大らかな雰囲気です。出会いの多くは一期一会ですが、フライトを終える頃には仲良くなり「また一緒にフライトできたらいいね!」という関係を築ける事も醍醐味です。
この多国籍な環境はお客様を見ても同じです。国籍もステータスも本当に様々で、貧しい国から外国へ出稼ぎに行く労働者、旅行客からVVIP(Very Very Important Personの略で通常のVIPより格上)まで客層は非常に幅広く、今まで見たことが無い光景の数々を目の当たりにしてショックを受けた事も多々あります(笑)。お客様の文化や背景が違えば求められるサービスのスタンダードも違います。日本人のお客様にはきめ細やかで丁寧な、欧米人のお客様にはもう少し距離感の近いフレンドリーなサービスを心掛ける等、お客様ひとりひとりが何を求めているかをわかるようになる事がここでの基本なのかなと思います。
こうして世界の縮図のような環境で過ごす日々は面白く刺激的でもあります。文化の違いによる面白い話は沢山ありますので、機会があれば是非中東系エアラインをご利用になり、クルーとお話してみて下さいね。
【プロフィル】佐藤聖子
さとう・せいこ 外国語大学を卒業後、日本の銀行で約2年間勤務。海外旅行が好きで、中東系航空会社を利用した事をきっかけに、もっと世界を見てみたい、語学力を伸ばしインターナショナルな環境に触れてみたい、という思いから自身も中東系エアラインに転職。現在はファースト・ビジネスクラスを担当。約70カ国を訪れ、写真に収めた海外の様子を現在はSNSでも紹介している。
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このコーナーはエアソルに登録している外資系CAが持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。内容は随時更新します。エアソルはPR、商品開発、通訳、現地リサーチ、ライター業務等、現役CAの特性を活かせるお仕事を副業としてご紹介しています。
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