【試乗インプレ】気持ちいい走り、燃費も実用的な注目SUV VWの新型ティグアン(前編)
ここ数回は自動車博物館の見学記をお送りするなど“試乗しない試乗インプレ”が続いていたが、今週から再び平常運転に戻って気になるクルマを公道で徹底チェック。今回紹介するのは、8年ぶりに全面改良されたフォルクスワーゲン(VW)のコンパクトSUV「ティグアン」だ。前編ではドライブフィールと先進装備に注目する。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz)
これは本当に1.4リッターなのか
2008年に初代ティグアンが登場してから約8年の時を経て、待望の新型ティグアンが昨年ついにデビューした。今年1月には日本市場でも販売がスタート。筆者が試乗したのは先進装備が満載の「TSI ハイライン」というグレードで、車両本体価格は約433万円だ。
海外では1.4リッターと2.0リッターの直4ガソリンターボ(TSI)、および2.0リッターのディーゼルターボ車(TDI)に2つのクラッチを持つDSGトランスミッションを組み合わせているが、日本仕様は今のところ1.4リッターエンジンのみ導入している。また、日本では前輪駆動(FF)だけの用意となる。
この1.4リッター直噴ダウンサイジングターボがなかなかの優れもので、最大トルク250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpmのスペック通り、低回転域から期待以上の高トルクを発揮する。駐車場内で超低速走行時に1度だけガクガクと揺すられる場面があったことを除けば、高回転域まで6速DSGを介して幅広いトルクバンドと加速力を発揮する頼もしいエンジンだ。回せば回すほどいい音も聞かせてくれる。
最低地上高はSUVらしく180ミリの高さを誇る。乗り降りは容易で、高い着座位置は見晴らしが良く安心感もたっぷり。しっくりと重みのあるハンドルは手応え十分で、ドライバーの感覚と絶妙にシンクロしながらイメージ通りにカーブをなぞっていく。アクセルレスポンスはきびきびと小気味よく、信号の多い街中でも軽快な走りを披露。高速道路で踏み込んだ時に一瞬のもたつきはあったものの、いったんスイッチが入ったあとの伸び感は「本当に1.4リッター?」と疑ってしまうほど。まるで一本の糸に引かれるようにスーッと気持ちのいいものだった。直進安定性も定規に沿って走っているかのようにきれいに決まる。さすがドイツのアウトバーンをホームに持つVWだけのことはある。
新型プラットフォーム「MQB」を採用
ティグアンは現行ゴルフ以降、VWの新型車種に続々導入されている最新プラットフォーム「MQB」を採用した最初のSUV。車高をリフトアップしたことによるコーナリングへの影響が気になるところだが、心配は無用。スピードを維持したままカーブに進入しても車体バランスは安定しており、遠心力に煽られてアウト側が沈み込むようなことはない。重心高が上がるとロールが出やすくなるのだが、前後のスタビライザーが効いており、特に必死に踏ん張っている様子もない。一回ハンドルを切れば修正舵は不要で、 涼しげな表情で颯爽と走る姿には余裕すら感じた。
日本国内で必要なスペックなのかは別として、「これだけMQBのバランスと剛性が高ければ、2.0リッターに7速DSGを組み合わせた海外モデルの走りはどれほどすごいのだろう」などと考えてしまう。
ロードノイズや風切り音はほとんど発生せず、車内の静粛性はしっかりと保たれている。走行面で唯一気になったのは、路面からの突き上げがダイレクトに伝わりやすいということ。ハイラインは18インチタイヤを履いているが、これが17インチを履く下位グレードの「コンフォートライン」や19インチを装着する最上位グレード「Rライン」なら、どの程度の乗り心地をもたらすのか、なかなか興味深いポイントである。
フルデジタルメーターなど装備も充実
前述の通り、ハイラインは様々な先進装備が充実している。完全デジタル化したメーターパネル「アクティブ・インフォ・ディスプレイ」は、速度計と回転計の間にナビゲーションマップを表示することが可能。メインで使用するモニターのナビと縮尺を変えて使い分けると非常に便利だ。狭い道や薄暗い地下駐車場などで、車体を俯瞰するようにモニターに映し出すアラウンドビューカメラ「エリアビュー」も搭載している。車線逸脱を回避するためのサポート機能「レーンキープ・アシストシステム」はハンドル操作を滑らかに補正するなど、実用性の高さを様々な場面で体験することができた。ほかにも電動パーキングブレーキや、停車中にブレーキペダルから足を離しても自動的に停車状態を保持するオートホールド機能を搭載するなど、ドライバーを多方面からサポートする機能が満載だ。
一つ難点を挙げるとすれば、やや上向きのハンドルと着座時のアイポイントの位置に対して、メーターパネルが垂直に立ちすぎているように感じた。もう少し斜めに寝かせた方が、視線を落とした時にメーターが見やすいだろう。
期待通りだった「VWらしさ」
今回は東京からアクアラインを経由して千葉県を往復する117キロの行程をドライブした。カタログ燃費16.3キロ/Lに対して、満タン法による測定では10.2キロ/Lを記録。エコモードを一切使わず、エンジンを積極的に回した割にはかなり実用的な数値ではないだろうか。
「新型ティグアンは想像通りに手堅い」-。これが、ドライブを終えた筆者の率直な感想だ。ドライバーが意図したとおりに素直に走る「気持ちよさ」と堅実な作り込みがもたらす走行時の安心感は、多くの乗り手がVWに求める要素であり、同社が最大の武器としてきた強みだろう。
今週はここまで。次回後編では、内外装や使い勝手のチェック、そして総評をお届けする。お楽しみに!(産経ニュース/SankeiBiz共同取材)
■主なスペック VWティグアン TSIハイライン(試乗車)
全長×全幅×全高:4500×1840×1675ミリ
ホイールベース:2675ミリ
車両重量:1540キロ(パノラマルーフを装着した試乗車は+30キロ)
エンジン:直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ
総排気量:1.4リットル
最高出力:110kW(150ps)/5000~6000rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1500~3500rpm
トランスミッション:6速DSG
駆動方式:FF
タイヤサイズ:235/55R18
定員:5名
燃料タンク容量:60リットル
燃料消費率(JC08モード):16.3キロ/リットル
ステアリング:右
車両本体価格:433万2000円
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