「サラリーマンの悲哀」あるある満載 中小機構の動画「社畜ミュージアム」が話題

 
動画「社畜ミュージアム」(提供)

 背筋が凍るほど恐ろしい美術館の動画が話題となっている。その名も「社畜ミュージアム」。社畜とは、『会社の言いなりになって、つらい仕事でも文句も言わず働いている会社員を、皮肉を込めてからかう語』(goo国語辞書より)とある。深夜にクライアントからの電話が鳴りやまず絶叫する社員や、上司から「進捗(しんちょく)どう?」と毎日詰められ爆発寸前の社員など、「思わず共感してしまう“社畜あるある”のアート作品に戦慄する人が続出している。とにかく、その動画を見てもらいたい。

「進捗モンスター」「居残り部長」

 「社畜ミュージアム」のタイトルとともに、架空の美術館を巡る映像がモーツァルトのレクイエム「怒りの日」とともに流れ始める。いわゆる「社畜」をテーマに劣悪な労働環境を彫像や絵画など展示作品になぞらえて紹介している。

 映し出されたブロンズ像には「終わらない仕事に絶望し、ウオータースライダー状に石化してしまった社畜社員=お手上げスライダー」というテロップが添えられている。

 このほか、暇そうな上司から「進捗どう?」と毎日詰められ、爆発寸前の「進捗モンスター」。また、ドラクロワの名画「民衆を導く自由の女神」をモチーフに、少ない睡眠時間を競い合う「寝てない自慢大会」。レオナルド・ダビンチの「最後の晩餐(ばんさん)」を模した作品は、上司が深夜まで帰宅しないため会社から脱出できない部下たちを表現した「居残り部長」。そして、連休が終わり、現実を受け入れられないまま、玄関で絶望するサラリーマンを表した「月曜、襲来」。

 このように、作品を通じてさまざまな“社畜あるある”が紹介された後に、「働く人を、もっと笑顔に」「日本の中小企業を支えたい」というキャッチコピーが出て終了する。

 もはや涙無くしては見られない…。

制作の中小機構「議論のきっかけになれば」

 この動画を制作したのは、中小企業基盤整備機構(東京都港区)という経済産業省所管の独立行政法人。創業支援から事業再生、人材育成、販路開拓など、ベンチャーや中小企業の成長段階に合わせた経営支援サービスをたくさん提供している機関だ。担当者に動画制作の経緯を聞いた。

 「私たちは、中小企業の方々を支援するための機関です」と前置きし、「中小企業は日本にある企業の99.7%を占めているのですが、人手不足など深刻な問題を抱えています。それらをサポートするわれわれのことを知ってもらうために動画を制作しました」と説明する。

 同機構が中小企業に対して、人手不足にどう対処するのかをアンケートしたところ、「社員を残業させる」や「他の社員に兼務させる」という回答がほとんどだったという。「動画のような状況はよくあることなのだと思いました」(同担当者)

 先月24日に動画を公開、1週間で60万回以上再生された。動画を見た人らは「僕も経験した」「全部あてはまる」「ほぼ地獄」などの声が上がっている。担当者も「ネットの反応もですが、取材のお電話をくださる方々がみなさん声をそろえて『まさに共感してます!』とおっしゃってました」と話す。

 最後に、「人手不足解消のためには、『生産性の向上』が必要です。この動画が、みなさんの議論のきっかけになれば」と訴えた。