【CMウオッチャー】戸建て住宅の高い天井に隠された夫と妻の「本音」とは…
マイホームに対する「夫の本音」と「妻の本音」を完全一致させるのは至難の業らしい、と認識させられるのが、大和ハウス工業の戸建て住宅ブランド「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」のテレビCMだ。同ブランドの最大の特徴である高い天井や開放感をめぐる悲喜こもごもをコミカルに描くことで、強烈な印象を残しながらも息の長いCMに仕上がっている。
休日の昼下がりだろうか。戸建て住宅の広いリビングで双子の女の子が遊ぶ姿を、ソファに座る夫婦が見つめている。
「天井の高い家にして、本当に良かったわね」と妻。
「そうだな」と、笑顔で答える夫。
なのに、不安定なピアノのBGMが流れ始め、“夫の心の声”が、たたみかける。
「嘘だ。おれは今、嘘をついている。本当は天井が低くて、せま~いところが大好きなんだ…」。家族の幸せと自分の幸せが両立しないという本音。父として、夫として、家族にはひた隠しにしなければならないと決めた笑顔が、どこか切なく見えてくるのが「夫の本音」編だ。
夫役は俳優の竹野内豊さん(47)。大和ハウスの顧客のうち、人生初の住宅購入という中心年齢層が30~40歳で、その世代の支持率や好感度の高さから竹野内さんを起用した。
ジーヴォシグマは大和ハウスの戸建て住宅の最上位ブランド。繰り返し巨大地震が起きても初期の耐震性能を維持する「持続型耐震」実現を目指す中で、開放感のある空間を提供するという付加価値を生む新工法を開発した。
その結果、天井高2メートル72センチ、開口幅最大7メートル10センチという「天井の高いことで生まれる開放感」。子供たちが室内でボールを高々と投げて遊ぶシーンも盛り込んで、天井高をアピールしたという。
ところで、そんな夫の本音を妻は知らないのか? そんな視聴者の疑問に答えているのが「妻の本音」編。妻役の女優、中村優子さん(43)のささやくような独白は聞き応えがある。
「私は知っている。あなたは本当は天井が低くて狭~いところが、大好きなんだってことを。私はぜ~んぶ、知っている」
ほほえんでいるが、目は笑っていない。やっぱり、妻は全てを知っていたのだと。
妻の本音編で天井高を効果的に表現しようと、リビングにはボルダリング用の壁面をしつらえ、子供や竹野内さんが登る場面があり、CM放送後から「ボルダリングの壁を家に付けたいとの要望が多数寄せられた」(広報)という。
夫の本音編は平成27年9月に、妻の本音編は29年4月に、それぞれ放映が始まった。同社の住宅見学会の前には、竹野内さんの昔の友人が家を見学しにきて再会するというスピンオフCMも期間限定でオンエアされている。
放映開始からもう3年近いが、見るたびに新鮮に感じてしまうのは配役の妙か、夫婦なら互いに言えない本音があるからか。住宅メーカーならではのロングランシリーズの次回作が楽しみだ。
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