例えば、食に関しては、東京・青山にブランド発信スペース「INTERSECT BY LEXUS- Tokyo」を2013年8月にオープン。狙いは単なるクルマのショールームではなく、一緒に食事を楽しめるレストランやグッズショップなどを同じ空間に併設することで、よりレクサスが持つブランドイメージや、提案するライフスタイルの姿などを伝えやすいと考えたからだ。
「富裕層の求めていることは一人一人異なります。一口に芸術が好きだと言っても幅が広いわけです。すべてを追いかけることはできませんが、レクサスがさまざまな分野で触媒になっているのだ、そこにかかわる人たちを支援しているのだということを理解してもらうきっかけになればと思います」(宮永氏)
熱狂的なファンを作れ
レクサスが販売台数を伸ばしているのは、こうしたブランディング活動だけではない。当然、クルマという商品そのものにも磨きをかけた。
その代表例が2012年から採用しているスピンドルグリルデザインだ。これを全車種に取り入れたことで、一目でレクサスブランドのクルマだと分かるようになった。
2013年には約7年半ぶりに中型セダン「IS」シリーズをフルモデルチェンジしたことで、それが欧州車と肩を並べる評価を受けるようになった。また、2016年1月に「デトロイトモーターショー」で新型ラグジュアリークーペ「LC500」、およびそのハイブリッドモデル「LC500h」を発表したことで、今までは見られなかった顧客層が関心を示すようになったという。従来のセダンやSUV(スポーツ用多目的車)といった実用的なクルマだから買うのではなく、クーペならではのエモーショナルな走りを求めるような層だ。