世界初の四輪駆動車を生み出したアメリカの「ジープ」が誇るプレミアムSUVが「グランドチェロキー」だ。一見、乗り心地を重視し、オフロード性能を犠牲にしたかにも見えるが、豪華なインテリアとは裏腹に、雪上や岩場、渓流などあらゆる悪路で高い走破性を誇る。四駆の歴史を築いてきたアメリカを代表する車種だ。(文・写真 土井繁孝/産経新聞大阪本社写真報道局)
自動車大国アメリカは四輪駆動発祥の地でもある。「ジープ」は、第二次世界大戦中にアメリカ陸軍の要請で開発され、1941年に世界で初めて実戦投入された。今でこそ四駆といえばSUVというイメージが強いが、20世紀の四駆といえばジープのことだった。
初代ジープ「Willys」は、戦場の荒れた路面を軽々と走破、兵士の負担を軽減するなど、その優秀さを実証した。
大戦後は軍事用から民生用として、事業を拡大していく。45年に「万能農耕馬」の異名を取る「CJ-2A」を発売。農業や工業など、多方面に活躍の場を広げていった。
ジープ人気を受けて次々とニューモデルが登場する中、54年に不朽の名作「CJ-5」がデビューする。ジープのイメージリーダーともいえる、タフなボディーと優れた走行性を誇り、150を超える国々で販売され、生産期間が30年を超えるジープ最大のヒット作となった。