今週の試乗インプレは、霊峰富士を望む高速テクニカルサーキット「富士スピードウェイ」が舞台だ。ヘルメットとレーシングスーツに身を固めて乗り込んだのは、高性能クーペ「RC F」をベースに開発したレクサスのレーシングカー「RC F GTコンセプト」。このマシンは「レース経験のない人でも扱えるレーシングカー」をコンセプトに開発された。時折、大粒の雨が激しく路面をたたく富士のメインコースで、ドライブパフォーマンスを確かめてきた。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz)
RC Fを進化させたレーシングカー
ピットガレージからメインストレートに目をやると、1台のレーシングカーが爆音を轟かせながら一瞬で走り去っていった。大砲から発射された弾丸も斯くや、というほどの猛烈な速度感。実はスーパーGTに参戦する現役プロドライバーが、筆者がこれから運転するRC F GTコンセプトのウォームアップ走行を代わりに行っているのだ。
今回の試乗はレクサスに誘ってもらう形で実現した。一般参加者を対象に定期的に開催される「レクサス・アメージング・エクスペリエンス」というイベントの前日に、メディア向け試乗会が行われたのだ。筆者がこのイベントに参加するのはこれが2回目。前回はスーパーカーの「LFA」など複数の市販車を運転したが、RC F GTコンセプトに乗るのは初めてとなる。
RC F GTコンセプトは、ベース車両のRC Fを300キロほど軽量化して車重1493キロとし、パワーウェイトレシオを3.75キロ→3.13キロに改善して動力性能を引き上げたマシン。さらにウイングやスポイラーなどのエアロパーツを装着して空力性能を向上させ、車内にアルミパイプを組み合わせたロールケージと呼ばれる補強フレームを張り巡らせて剛性もアップ。レース用ブレーキを装着した足回りに極太スリックタイヤ(溝のないタイヤ)を履かせた正真正銘のレーシングカーとなる。477馬力/7100rpmを発生する5リッターV8自然吸気(NA)エンジンや8速ATのトランスミッションはRC Fと同じユニットを流用することで、レース経験のない人でも運転しやすいマシンに仕上げてあるという。ただし、ベース車両と近似性があるのはこのパワートレインのみだ。