流行りのコンパクトSUV市場にアウディが投入したQ2。角ばったアグレッシブな外観に目を奪われるが、搭載されているエンジンが3気筒で排気量はわずか1リッターというところも注目ポイント。BセグメントのA1に搭載するならともかく、コンパクトとは言えSUVを動かすには少し非力では?という疑問を持ちつつ、白樺高原から霧ヶ峰を経由して美ヶ原につながる長野県のビーナスラインでその性能を試してきた。(文・写真 小島純一)
アウディQ2の特長は大きく4つ。1つ目は今までのアウディにはなかったポリゴン(多角形)のディテールを多用した角ばったデザイン。2つ目はコンパクトなボディーながら、十分な広さを持つキャビン。3つ目は燃費とパワーを両立した1リッター3気筒エンジン。そして4つ目は300万円を切った価格だ。では1つずつ見ていこう。
中高年に選ばれないためのデザイン?
外観デザインでは思い切った変革がなされている。フロントフェイス、ドアパネル上部、Cピラー、リアコンビランプなど、随所に多角形のモチーフが使われ、まさに尖がった仕上がり。張りのある面で構成された従来のアウディ車が醸し出す落ち着きやリッチな趣とは対照的だ。
特に試乗車の黄色のようなビビッドな車体色がとても映える、若々しいデザインである。キャッチコピーの「型破る」の言葉そのままに、成熟した大人に選ばれるクルマのイメージを塗り替えようとのアウディの強い意志を感じる。
ただ、好みが分かれる形でもあると思う。私のような中年のおっさんが乗るにはやはり少し気恥ずかしい。あるいは、若年層ユーザーを増やすために、あえて中高年が抵抗を覚えるようなデザインにしているのかもしれない。
日本向きのジャストサイズ
アウディはA1、Q5というようにボディーの小さい順に1→2→3→5→7→8とモデルに番号を振っている。Aはセダンとステーションワゴン、QはSUVのシリーズで、Q2はSUVの中では最小モデル。兄貴分のQ3より外形は一回り小さいが、プラットフォームは共通で、ホイールベースはわずか1センチ短いだけ。クラスとしては同じアウディのA3やVW・ゴルフと同じCセグメントに該当する。だから室内は外観から予想するより広く、後席に身長172センチの私が座って膝元にもこぶし1個半ほどの余裕がある。