【試乗インプレ】可愛かったあの子が“大人”に成長して7年ぶりに凱旋帰国 ホンダ・シビック (1/5ページ)

  • セダンは伸びやかなプロポーションが特徴。ホンダ・シビックセダン
  • インパネデザインはセダン、ハッチバック共通。ホンダ・シビックセダン
  • 多灯LEDをおごったヘッドランプユニット。ホンダ・シビックハッチバック
  • 英国生産のため“輸入車”となるハッチバック。ホンダ・シビックハッチバック
  • 最近のホンダ顔を踏襲したフロントマスク。ホンダ・シビックセダン
  • ルーフからテールエンドまでなだらかにつながったクーペスタイル。ホンダ・シビックセダン
  • リアがハッチゲートのようにも見えるが、キャビンから独立したトランクを装備。ホンダ・シビックセダン
  • ホンダ・シビックセダン
  • ホンダ・シビックセダン
  • 後席は座面長たっぷり、背もたれの高さと傾斜、膝元の余裕も十分で大人4人が楽に長距離移動できる空間を確保。ホンダ・シビックセダン
  • トランクリッドは奥行きが短いが、左右の開口幅は大きく、下端も低いので使い勝手良さそう。ホンダ・シビックセダン
  • 荷室奥行きが長く、容量はハッチバックより上。ホンダ・シビックセダン
  • スノッブなセダンとアグレッシブなTYPERの間をとったような、ほどよく厳つい顔つき。ホンダ・シビックハッチバック
  • ハッチバックは画像のように6速のMT仕様も選べる。ホンダ・シビックハッチバック
  • セダン同様、ハッチバックもルーフから後端までなだらかなラインを描く。ホンダ・シビックハッチバック
  • リアハッチはかなり寝かされていることがわかる。ホンダ・シビックハッチバック
  • マフラーはセンター2本出し。このアングルがもっともスポーティー。ホンダ・シビックハッチバック
  • センターコンソールはまるで後輪駆動車のように高い。おかげでMTのシフトはレバーもストロークも短めで、停車してレバーを動かしているだけで気分が上がる。ホンダ・シビックハッチバック
  • 容量はセダンに及ばないが、大きな開口部で積載性に勝る。ホンダ・シビックハッチバック
  • 黒だと一気にワルの雰囲気に。ホンダ・シビックハッチバック
  • 白だと穏やかな雰囲気に一変。車体色でここまでイメージが変わるクルマも珍しいかも。ホンダ・シビックセダン


 7年ぶりに日本市場に復活したホンダ・シビック。10代目となる新型は、欧州の中型Cセグメントの競合に対抗すべく、横幅1.8メートルの大柄ボディーをまとって我々の前に姿を現した。エポックメイキングな初代や、学生時代にモダンな外観の3代目ワンダーシビックに憧れた者としては「これがあのシビックなのか」という戸惑いを覚えつつ、御殿場で行われたメディア向け試乗会でセダンとハッチバックに乗ってきた。(文と写真・小島純一)

 「シビック」という名への違和感

 初見は2015年に開催された前回の東京モーターショーだった。思えば新型に対しての私の違和感はここから始まっている。この立派なボディーを持つクルマがシビックを名乗っていることが腑に落ちなかった。あるいは昔のシビックを知らない若い世代は、新鮮な目で見られるのかもしれないが、私にはどうしてもコンパクトで、ちょっと洒落ていて、まさにCIVIC(=市民の)の名のとおり、庶民にも手の届く価格の大衆車というイメージが邪魔して、素直に評価できずにいた。

 晴天の御殿場の試乗会会場で出迎えてくれたのは赤のセダンと青のハッチバック。前回のモーターショー以来の再会で最初に思ったのは意外にも「お、カッコいいじゃん」だった。広告や海外試乗記事で何度か目にしていたからだろうか、出会い以降感じていた違和感はこの再会の瞬間、すーっと消えていった。

 スタイリッシュながら実用性高いセダン

 試乗まではまだ2時間ほどある。写真を撮りながら、ためつすがめつセダンのボディーを一周した。横から見た伸びやかなシルエットは、ルーフからトランクまでを段差なくつないだ流行りの4ドアクーペで、なかなかスタイリッシュだ。欧州ではアウディ・A5やBMW・4シリーズ、ベンツのCLAなどで定番となったこのスタイルは、国産ではまだ少ない。強いて言えば“国民車”プリウスが挙げられるが、デザインだけで評価するならシビックセダンのほうがずっとカッコいい。

 「このスタイルで中が狭くなければセダンもアリだな」。そう思って、まずは後席に乗り込んでみた。横幅はたっぷり、身長172センチの私が座って膝元にはこぶし2つ分、頭上にはこぶし1つ半の余裕がある。背もたれは肩まで届き、座面長も長いうえに足も十分伸ばせるため腿がしっかりサポートされる。後席のセンターアームレストが低いのは残念だったが、Cセグメントの後席としては、大人4人が快適に長距離移動できるトップレベルの居住性を持っている。期待以上の実用性に「セダン、いいじゃないか」とややテンション上がったところで前席へ。

TYPE Rイメージを踏襲したハッチバック

     おそらくホンダは、ミニバンやSUVユーザーに乗り換えてもらえるとは端から思っていない。奪いたいのは、VW・ゴルフやルノー・メガーヌの購入を検討しているユーザーだろう。たとえば、シビックハッチバックと同等スペックのゴルフハイラインは346万円、メガーヌGTは334万円。実に50万円以上の開きがある。相手が輸入車ということを割り引いて考えてもお値打ちと言っていいのではないか。  スポーティーかつDCT仕様のセダンが欲しい  もし私が買うとしたら…これはなかなか悩ましい。デザインで欲しいと思うのはセダンだが、走りが楽しいのはハッチバック。ハッチバックの走りそのままに、ボディーだけセダンという仕様があって、なおかつミッションがゴルフやメガーヌのようなDCTであれば、けっこう真剣に購入を考えたい。  今後の売れ行きによっては、仕様やグレードの追加もあるかもしれない。すでに9月から販売を開始しており、ハッチバック購入者の35%がMT仕様を選んでいるという。これはホンダの予想以上だそうだ。トヨタ・カムリの販売好調もあり、セダン復権の機運も高まりつつある。ホンダさん、スポーティーなDCT仕様のシビックセダン、出すなら今ですよ、多分。  次週はシビックTYPE Rの試乗記をお送りする。 ■基本スペック ホンダ・シビック セダン CVT 全長/全幅/全高(m) 4.65/1.8/1.415 ホイールベース 2.7m 車両重量 1,300kg 乗車定員 5名 エンジン 4気筒 直噴 ターボ 総排気量 1.496L 駆動方式 前輪駆動 燃料タンク容量 47L 最高出力 127kW(173馬力)/5,500rpm 最大トルク 220N・m(22.4kgf・m)/1,700rpm~5,000rpm JC08モード燃費 19.4km/L 車両本体価格 265.032万円 ホンダ・シビック ハッチバック 6MT/CVT 全長/全幅/全高(m) 4.52/1.8/1.435 ホイールベース 2.7m 車両重量 6MT:1,320kg CVT:1,350kg 乗車定員 5名 エンジン 4気筒 直噴 ターボ 総排気量 1.496L 駆動方式 前輪駆動 燃料タンク容量 46L 最高出力 134kW(182馬力)/5,500rpm 最大トルク 240N・m(24.5kgf・m)/1,900rpm~5,000rpm JC08モード燃費 6MT:17.4kmL CVT:18km/L 車両本体価格 280.044万円