クロマグロ漁獲枠超過、日本に批判集中も 東京でISC開幕、資源回復を議論
資源の枯渇が懸念されている太平洋クロマグロ
資源の枯渇が懸念されている太平洋クロマグロについて、漁業者や環境保護団体などが意見を交わす北太平洋まぐろ類国際科学小委員会(ISC)が25日、東京都内で開幕した。今回の協議に基づき、今夏の中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)で長期的な管理計画が策定される。日本は週内にも国際合意に基づく漁獲枠を超過する見通しで、国際社会から批判の声が集中しそうだ。
ISCはWCPFCから北半球の漁業資源の科学的な分析を委託された機関。会議には、日本や米国、台湾などの政府関係者らが参加し、27日まで太平洋クロマグロの管理について意見を交わす。資源回復に向け、必要な漁獲規制のレベルなどについて議論する。
太平洋クロマグロは、小型魚(30キロ未満)の漁獲量を2002~04年の平均から半減する規制が昨年導入された。日本の漁獲枠は7月から翌年6月までの1年間で4007トンと定められたが、25日時点で既に4006トンに達し上限超えが確実だ。
水産庁の太田愼吾審議官は会議の冒頭で、「国際合意に基づく制限を順守するのは極めて困難な状況。この事態を重く受け止め、再発防止に向けてさまざまな措置を講じる」と述べた。
水産庁は今月、漁獲枠を設け違反した漁業者には懲役を含む罰則を科す総漁獲可能量(TAC)制度をクロマグロにも適応する政令改正を実施。上限を超えて操業を続けた三重県など、不正のあった地域には割当量を削減する方針だ。
会議では漁獲枠を守れない日本に対し、厳しい意見が出される見通しだ。国際的な環境NGO「世界自然保護基金(WWF)ジャパン」は、「より高い目標や厳しい資源回復計画の合意形成に向けてリーダーシップを期待する」との声明を出している。
関連記事