「パルメザンチーズ」消える? EPAブランド保護、食品メーカーに動揺広がる

 
国産中心のスーパーのチーズ売り場も安い欧州産輸入チーズで変わりそうだ=横浜市鶴見区

 日本と欧州連合(EU)は経済連携協定(EPA)に基づき互いの地理的表示(GI)を認め合い、伝統的な食品産地ブランドを保護する。国内の有名ブランドは欧州で認知度が高まって販路拡大が期待できるうえ、偽物の流通防止にもつながる。ただ、「パルメザンチーズ」など慣れ親しんだ商品名が使えなくなるケースがあり、企業の販売戦略にも影響が出そうだ。

 知名度向上に期待

 「欧州で“本物”を知ってもらえる機会になれば」

 高級牛肉ブランド「神戸ビーフ」の海外展開を進める神戸肉流通推進協議会の担当者は、EU域内で保護されるGIリストに掲載されたことで声を弾ませた。

 2014年7月から欧州へ輸出している神戸ビーフ。知名度向上に伴って海外で偽物の報告も寄せられているが、悪質な偽ブランド品は摘発対象になるため、「民間では難しい取り締まりに期待したい」と話す。

 農産物とは別に、酒類でも「日本酒」やワインの「山梨」、焼酎の「薩摩」「壱岐」など8つが欧州で保護される。中国など海外で作られた清酒は日本酒を名乗れなくなる上、製品にGIマークが付き特産品を差別化する効果もある。

 兵庫県内の酒造会社社長は「欧州への日本酒の輸出はまだ少なく、これからの市場だ。進出する酒造会社にとってはGIがアピールになる」と期待する。

 販売戦略の変更も

 一方、食品メーカーは国内の販売戦略で自由度が狭まることになりそうだ。

 スパゲティのお供として広く親しまれている「パルメザン」の名称に“縛り”がかかることで、「クラフト100%パルメザンチーズ」を販売する森永乳業には動揺が広がった。

 緑色の円筒形容器で知られるこの商品は粉チーズの代名詞的な存在で、家庭用シェアは首位。しかし、原料が米国産のため今後は商品名の変更を余儀なくされる。担当者は「詳細を確認したい」と情報収集に追われた。

 政府は日本が保護するEU産酒類のGIは全容を公表していない。ただ、「シャンパン風」「ボルドーのような味わい」といった微妙な表現も使えなくなりそうで、各社は対応を迫られる。