ミャンマーで日本米広める 女性起業家が現地生産

 

 日本で長く暮らしたミャンマー出身の女性起業家が、母国で日本米「ひとめぼれ」の現地生産に取り組み、人気を広げている。もともと農業は素人だったが、日本の稲作農家の指導を受け生産を本格化。ミャンマーに日本米を根付かせようと奮闘している。

 女性はキン・エー・エー(日本名、橘幸帆)さん。軍政時代の1998年に日本に渡り、大学を卒業して就職、日本国籍も取得した。ミャンマーでは2011年に民政移管が完了。将来に可能性を感じ、13年に拠点を母国に戻した。

 「おいしい日本米をミャンマーの人にも広く味わってほしい」との思いから、日本での勤務先の社長に紹介してもらった稲作農家にコメ作りを学んだ。当初、日本から持ち込んだ品種は育たずに失敗。昨年4月から「ひとめぼれ」の生産が軌道に乗り、自分の名前にちなんで「幸穂」との商品名で販売している。

 最大都市ヤンゴンで増えている日本料理店や、外国人が利用するスーパーへの販売が伸び、出荷量はコメ作りを始めた当初の数十倍に当たる月約3500キロに増加。「日本米はミャンマー料理にも合う」(エー・エーさん)と地元料理店などへの販売も模索している。

 米農務省によると、ミャンマーのコメ生産量は世界7位の年約1240万トン。インディカ米のほか、北東部シャン州では日本米に近い品種も生産されている。「幸穂」米は一般的なコメに比べると高価だが、物流などのコストを抑えて価格を下げようと生産地域をヤンゴン近郊に集約した。

 生産農家には日本流の厳しい品質管理を指導し、中間業者を介さず適正価格で買い取る一方、販売先には少量配送などきめ細かいサービスを提供する。エー・エーさんは「品質を守りながら顧客の信頼を得ていく。(将来は)輸出にも挑戦したい」と力を込めた。(ヤンゴン 共同)