カタルーニャ、独立賛成9割 スペイン首相 投票率4割、結果を否定
カタルーニャ自治州の住民投票は投票率が4割にとどまり、ラホイ首相は結果を全面的に否定する構えだ。警察と有権者の衝突による負傷者は800人を超えるなど混乱は拡大しており、スペインは大きな政治危機を迎えた。
2日の開票発表後、州都バルセロナ中心部は独立支持者の歓声に沸いた。数万人が「自由」と書いた看板や黄と赤のカタルーニャ旗を振って喜びを表現した。
1日の投票日には警察が抵抗した有権者を棍棒(こんぼう)で殴ったり、倒れた有権者の腕をつかんで引きずったりした様子が報じられ、プチデモン州首相は「ラホイ首相は国家の永遠の恥をさらした」と糾弾した。
強硬姿勢で臨んだラホイ政権は下院で過半数を有していない。昨年秋の組閣では、野党・社会労働党の大半が首相信任投票を棄権するという「側面支援」を得て成立した。
社労党のサンチェス書記長は1日の衝突について、「好ましくない対応だ」とラホイ政権を批判。社労党も含め、主要政党は独立自体には反対の姿勢だが、ラホイ首相の対応のまずさを攻撃し、政権を揺さぶるとみられる。
独立派の今後のシナリオは、欧州連合(EU)に中央政府との仲介を求め、「独立カタルーニャ」を国際的にアピールすること。プチデモン氏は2日の記者会見で「国際的な第三者機関による調停」を求めた。
EUはこれまで「内政問題」として傍観していたが、周辺国で「流血の道に進むことを避けるべきだ」(仏紙リベラシオン論説)など懸念が広がる中、欧州委員会の報道官は2日、「双方は速やかに対話をすべきだ」と訴えた。スペインの動きは英スコットランドやベルギーのフランドル地域など周辺国の分離独立の動きを刺激しかねず、EUが対応を迫られる可能性がある。(パリ 三井美奈)
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