紛争の地、観光最多は日本人 カンボジア、世界遺産プレアビヒア

 

 カンボジア北西部、タイとの国境にある世界遺産プレアビヒア遺跡は、周辺の領有権を争って両国が激しい戦闘を繰り広げた。2011年の国際司法裁判所の命令を受け両国軍部隊は撤退。今も緊張感が残る遺跡に、昨年、最も多く訪れた外国人は日本人だ。

 地元当局によると、昨年、遺跡を訪れた観光客は国内外の約10万7000人。うち外国人は約2万4000人で、日本人が約8300人を占めた。2位の中国の倍以上だ。アンコールワットに代表されるアンコール遺跡群などに比べ「目新しさがあり、日本人の関心を呼んでいるのではないか」と旅行会社関係者は話す。

 石造りの寺院跡が点在する山に爽やかな風が吹き渡る。眼下には見渡す限り森林が広がる。カンボジアとタイが部隊を撤退させたことで緊張が大幅に緩和し、観光客が戻ってきているといっても、一帯では実効支配するカンボジアの治安要員が24時間態勢で警戒する。戦闘時に作られた塹壕や砂袋を積み上げた防御壁も点在する。

 国境は今も画定しておらず「タイ側への配慮から、思うように道路整備も進められない」(地元記者)のが現状だ。

 警戒中の警察官、ヤン・インさんはプレアビヒア駐在17年。タイとの激しい戦闘も経験し「タイ側は兵士も多く、武器も近代的だった。私は命を犠牲にする用意があった」と振り返る。今も時々、国境付近でタイの治安要員を見掛けるが「『元気?』『今日は何食べた?』と声を掛け合ったりする」と話す。一方、治安部隊の幹部は「今は観光客が来ても全く問題ない。ただ領有権争いが未解決である以上、これから何が起こるかは分からない」と注意を呼び掛けた。(プレアビヒア 共同)