18年度介護報酬 小幅引き上げ 政府、事業所の経営悪化に対応
(左から)茂木敏充経済再生担当相、安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務相=首相官邸(斎藤良雄撮影)
政府は、2018年度に原則3年に1度の改定期を迎える介護報酬について、引き上げる方向だ。人手不足による人件費増などで介護保険サービス事業所の経営が悪化していることに対応する。ただし保険料アップを抑えるために引き上げ幅は小幅とし、サービスの重点化・効率化を徹底する。
厚生労働省が10月26日に発表した16年度の介護保険サービス事業所の経営実態調査結果によると、全体の平均利益率(収支差率)は3.3%と、7.8%だった13年度の前回調査に比べ大幅に低下した。
15年度に介護報酬が2.27%と大きく引き下げられたことに加え、雇用情勢の改善に伴う人手不足で人件費が膨らんだことが主な要因だ。
安倍晋三首相は11月1日の第4次内閣発足後の記者会見で「介護人材確保のためのさらなる処遇改善などを進める」と述べた。
政府は17年度に報酬の臨時引き上げを行ったばかりだが、介護サービスの財源をさらに確保する必要があるとみて、18年度も介護報酬を引き上げる方針。19年10月の消費税増税の使途変更分の一部も財源とする。
一方、17年度の65歳以上の介護保険料は全国平均で月約5500円と高水準にある。また経営実態調査では、利用者数が多い訪問介護と通所介護(デイサービス)は利益率が高いことも判明しており、18年度の報酬改定では増減のメリハリを明確にする方針だ。
具体的には、訪問介護で掃除や洗濯など生活援助を担う短期研修のヘルパーを新設。専門性が低い職員でも従事できるようにし、事業所に支払う報酬を引き下げる。
さらにデイサービスでも大規模事業所は報酬を引き下げるが、リハビリ専門職と連携した機能訓練を実施する事業所への報酬は手厚くする考えだ。
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