18年度予算案 新規国債発行が8年連続減額 税収見通し58兆円台でめど

 
国債を管理する財務省=東京都千代田区

 政府は29日、2018年度予算案で、歳入不足を補う新規国債の発行額を前年度当初予算から減らす方向で調整に入った。減額は8年連続。18年度の国の税収が58兆円台とバブル期以来27年ぶりの高水準になる見通しとなり、17年度(約57兆7000億円の見込み)の税収を上回るため、減額のめどが立った。新規国債発行額は17年度よりも数百億~数千億円抑制する方向だ。

 安倍晋三政権は経済政策「アベノミクス」で増えた税収を景気対策の財源に充てつつ、国債発行の減額にも活用。政権発足直後に編成した13年度予算の国債発行額は42兆9000億円だったが、17年度予算では34兆4000億円にまで減らした。

 18年度は、一般会計の歳出総額が社会保障費の増加などで過去最高の98兆円前後となる見通しだ。一方で税収は、株高などに伴い所得税収などが増え、1991年度(59兆8000億円)以降では最も高い58兆円台とバブル期並みに回復する見込み。

 ただ、世界経済の動向次第では、税収が想定より伸び悩む可能性もある。16年度は、円高で企業業績が低迷し、法人税を中心に税収が伸び悩んだ。その結果、政府は税収見積もりを当初の57兆6000億円よりも1兆7000億円少ない55兆9000億円に下方修正し、16年度第3次補正予算でほぼ同額の赤字国債を発行して穴埋めした経緯もある。景気動向が変われば、18年度も期中で赤字国債の発行を迫られる可能性がある。

 安倍政権の税収頼みの財政運営は危うさをはらむ。消費税率10%への引き上げを19年10月に延期し、財政の健全性を示す基礎的財政収支を20年度に黒字化する目標の達成は「不可能」(安倍首相)になった。今後は社会保障費など歳出の徹底的見直しや、成長分野への効率的な投資などの構造改革が求められる。