所有者不明の土地、活用へ新制度 収用法に特例、簡略化

 

 所有者不明の土地が増加し経済損失が膨らんでいる事態を解決するため、政府が平成30年度にもスタートさせる新制度の概要が28日、判明した。行政が民有地を必要に応じ収用できる土地収用法に特例を設けるほか、土地財産の管理に関連する市町村長の権限を強めるなどして、土地活用に向けた手続きが迅速にできるようにする。来年1月召集の通常国会で、新法成立と既存の法律の改正を目指す。

 新制度は、国土交通省と法務省、農林水産省が連携して整備する。国交省関連では、収用法の特例で、各都道府県の収用委員会に代わり知事が収用の裁定を行えるようにし、手続きの簡略化を図る。また、公園や農産物の直売所設置といった地域住民向けの「地域福利増進事業(仮称)」を創設し、知事が最低5年程度の「利用権」を設けられるようにする。

 法務省関連では所有者がいない不動産の管理、売却などを行える「不在者財産管理人」の選任申立権を市町村長に与える。長期間、相続登記が行われていない土地を調べて法定相続人の一覧図を作成し、登記所に備える取り組みも進める。

 農水省関連では農地に関し、固定資産税などを負担している相続人がいれば簡易な手続きで「農地中間管理機構」(農地バンク)に貸し付けられるようにする。バンクはこの農地を希望者に貸し出す。森林も同様の条件や手続きで市町村に経営・管理を委託できるようにする。

 政府は国交省と法務省関連を新法で、農水省関連を既存の法律の改正で対応する方向で調整している。

 相続登記されず所有者の分からない土地は、各地の公共事業で用地取得などがうまくいかない理由として問題視されている。面積は現在400万ヘクタール超に達し、52年には約720万ヘクタールと北海道(約780万ヘクタール)並みとなり、経済損失は累計6兆円に達するとの試算がある。