「しばらく保有するしか…」 乱高下のビットコインに戸惑う投資家 安全網の整備課題

 
仮想通貨「ビットコイン(BTC)」(ロイター)

 価格の乱高下を繰り返すBTCをめぐっては、金融庁が、仮想通貨と現金を交換する取引所に登録制を導入するなど、利用者保護の体制整備が進む。しかしBTCは通貨でも金融商品でもない“曖昧”な存在で、政府もさらに踏み込んだ安全網の構築には二の足を踏んでいるのが実情だ。悪質な投機などによる価格急変動への備えは十分とはいえず、暴落のリスクは大きい。

 「BTCは通貨のようなものになり得るのかということに関しては信用、証明がなされていない。もう少し見ていかないといけない」。麻生太郎財務・金融担当相は12月中旬の記者会見で、BTCに慎重な見方を示した。

 麻生氏の発言は、ルメール仏経済・財務相が、BTCの規制強化策を20カ国・地域(G20)で協議したい意向を表明したことを受けたもの。ルメール氏は値動きの激しさや、マネーロンダリング(資金洗浄)への悪用を懸念しているとみられ「投機リスクがある。どうビットコインを規制できるか検討する必要がある」と述べた。

 日本では4月1日に改正資金決済法が施行され、仮想通貨をプリペイドカードなどと同様、決済手段に使える「財産的価値」と初めて定義した。金融庁が監督官庁となり、取引所を登録制とし、口座開設時の本人確認を厳格化するなどの規制も整備。取引所は犯罪組織による資金洗浄対策の義務も負うことになった。

 とはいえ、BTCは民法で定める通貨でも金融商品取引法の金融商品でもない。通貨と認め、金融商品と同じような扱いとするのであれば、さらに厳格な規制が求められる。

 特に金融商品取引法は、株式や債券などの価格を意図的に変動させる相場操縦や、取引などのために虚偽情報を流す「風説の流布」を禁じているが、BTCには適用されない。BTCは株式に比べて取引規模が小さく、悪質な投機で相場が乱れ、価格が急落するリスクは大きい。

 東京都渋谷区の男性会社員(38)は今夏、BTCなどに10万円を投じ、現在は資産額が5倍以上に膨らんだ。ただ、最近のBTC価格の乱高下には当惑気味。「どう対応していいか分からないので、しばらくはそのまま保有するが、最悪資産がゼロになっても仕方ない」とこぼす。

 BTC価格を押し上げてきた要因の一つに分裂がある。8月に分裂し新たなコインが誕生した際には、BTC保有者は同数の新コインがもらえ財産が増えた。年明け早々にも新たな分裂が取り沙汰され、買いを集める可能性がある。一方、派生コインにはセキュリティー上の欠陥を指摘する声もあり、投資家も慎重になってきた。

 情報サイト「コインヒルズ」によると、BTCの世界での取引のうち日本円が占める割合は4割超と首位。“日本マネー”の流入が加速する中、投資家が過度な被害を受けない制度整備が求められる。(中村智隆)