歳出改革置き去り、遠い財政再建 消費税増収分を教育無償化に流用

 
衆院解散を表明し、消費税収の使途変更に関し「信を問う」と述べた安倍首相=9月、首相官邸

 政府は12月、2019年10月の消費税増税時の増収分を財源に、幼児教育・保育などの無償化を進める方針を決めた。“国難”と位置づける少子化に歯止めをかける狙いだが、そのあおりもあって財政健全化目標は断念。社会保障費など歳出面の改革は遅れ、国民負担が今後、どの程度膨らむのか見通せない。

 安倍晋三首相は9月、衆院解散を表明した記者会見で、教育無償化など「人づくり革命」に2兆円を振り向けると表明した。12月には政策パッケージを閣議決定し、3~5歳児の幼児教育は原則、無償化することが決まった。住民税非課税世帯では0~2歳児の幼児教育や大学など高等教育まで無償化対象を広げる。

 少子高齢化対策として教育の充実に異論をはさむ向きは少ない。ただ、もともと借金返済に充てるはずだった消費税増収分を流用したことで財政再建は遠のいた。政府は税収などで政策経費をどれだけ賄えるかを示す「基礎的財政収支」を20年度に黒字化する目標を先送りし、来年6月の骨太方針で新たな目標を打ち出す見通しだ。

 財政健全化の旗は降ろさないと宣言したものの、18年度予算案では、防衛費の増額や医師の人件費などに当たる診療報酬の本体部分の引き上げが決まり、その決意が具体化したとは言い難い。診療報酬では選挙で自民党を応援した医師会に配慮し、予算膨張に歯止めはかからなかった。

 一方、18年度税制改正では、大きな選挙が当面予定されない間隙を縫って増税項目が並んだ。所得税の基礎控除と、給与や年金の控除を一体で見直し、フリーで働く人を減税とする一方、年収850万円超で子育てや介護がない会社員と、高所得の高齢者の税負担が増す。たばこ税の増税も決まった。これらの税収は、消費税増税時に導入する軽減税率の財源に回すことが暗黙の前提とされているが、こうした思惑を関係者が正面から説明することはなかった。