パリに「万博」前線基地…財界、企業、関西総出で誘致へ全力

 
2025年万博立候補地と今後のスケジュール。大阪は財界あげて誘致に全力をあげる

 2025年国際博覧会(万博)の大阪開催の実現に向け、関西経済連合会が博覧会国際事務局(BIE)本部のあるフランス・パリに誘致活動の拠点となる事務所を置く方針を固めたことが31日、分かった。メーカーや商社などで働く海外経験の豊富な人材をスタッフとして派遣する。開催地が決まる11月のBIE総会で投票権を持つ加盟国の外交官らに大阪万博支持を働きかける狙い。

 事務所は1月中にも開設する考え。25年万博の開催には日本のほか、フランス(パリ近郊サクレー)、ロシア(エカテリンブルク)、アゼルバイジャン(バクー)が立候補している。

 BIE加盟国は170カ国で、このうち約80を占めるアフリカ、中南米の動向が勝敗を左右する。

 パリに派遣されるのは、大阪府、大阪市と経済界で構成する万博誘致委員会の東京本部事務局次長ら数人。次長は関経連の松本正義会長(誘致委会長代行)が会長を務める住友電気工業の役員クラスで英語やフランス語が堪能という。商社にも協力を求めている。

 住友商事からはアフリカに人脈を持つ部長級が1月から関経連に出向し、パリのスタッフと連携する。

 BIE総会で「どの国に投票するか」の意思決定の仕方は国により異なるが、パリにある大使館や総領事館から本国に報告する分析が重要な判断材料になる。

 このため、関経連はパリにスタッフを派遣して各国の外交官との対話を通じて大阪への投票を呼びかける必要があると判断した。

BIE加盟国を全力で説得へ

 万博の大阪誘致に向けて関西経済連合会がフランス・パリに事務所を置くのは、今年秋にかけて、博覧会国際事務局(BIE)の加盟国の票をめぐり、激しい争奪戦が予想されるためだ。誘致活動で関西財界が存在感を発揮し、積極的なPRに乗り出す。企業が海外での事業展開で培った人材や人脈を駆使した「奥の手」で誘致成功をたぐり寄せられるか、正念場を迎える。

 万博誘致に向けた支持獲得をめぐっては、関西財界に楽観論と悲観論が交錯している。

 関経連の松本正義会長は、昨年11月のパリのBIE総会で行われた2回目のプレゼンテーションを「日本が地に足のついた活動(途上国支援など)をしていると印象づけた」と評価する一方、「加盟国にどうアプローチをするか。経済人が馬力をかけてやる必要がある」と指摘する。

 「ワイン漬けになった(フランスでの生活に慣れた)加盟国代表をどう説得できるかが勝負だ」。ある財界関係者はこう話す。BIE加盟国代表は、BIE本部があるパリに在住しているケースが多い。フランスびいきは否めないとの懸念の声があがる。

 ロシアのプーチン大統領が東欧や中東に持つ影響力も無視できない。経済成長が期待できる新興国としてアゼルバイジャンに傾くBIE加盟国が出てくる可能性もある。

 これまで、各国の支持獲得は政府の外交交渉を主体に進められ、民間は主に国内機運の醸成を担ってきた。関西財界は企業を動員してポスターを掲示するなど周知活動を展開。昨年12月27日現在で万博誘致委員会の会員数は20万2千人・団体、署名などでの誘致賛同者数は8万8千人に達した。

 ただ誘致ムードが国内で盛り上がっても、肝心の加盟国の支持をつかむことができなければ成功はしない。2005年に実現した愛知万博の誘致では、地元のトヨタ自動車が世界に張り巡らしたネットワークを駆使し、支持を広げたとされる。

 関西ではトヨタほどの事業規模でなくても、世界を相手にビジネスを手掛ける企業は多い。パリに派遣されるスタッフを関西企業が資金、さらには情報などの面でバックアップする態勢も求められる。(牛島要平)