「世界の豊洲に」課題なお山積 10月11日開場決定も、観光拠点のめど立たず

 
豊洲市場

 懸案だった豊洲市場(東京都江東区)の開場日が2018年10月11日と決まり、東京に新たな「名所」が生まれる。東京都は築地跡地を2020年東京五輪・パラリンピックの輸送拠点に整備し、主要道路となる環状2号線の地上部分を20年3月までに通す計画。工程はぎりぎりで、築地市場の建物解体と並行しながらの作業となる。

 昨年12月20日の臨時記者会見で開場日を発表した東京都の小池百合子知事は「一つの節目を迎えた。豊洲市場を日本の新たな中核市場として育てていく」と決意を表明。開場日決定後の記者会見で築地市場協会の泉未紀夫副会長は、「世界の豊洲と言われるまで努力したい」と笑顔を見せた。

 ただ、築地市場の業界幹部に安堵(あんど)が広がった一方で、築地に残りたい業者からは不満も。豊洲市場内に計画されている観光拠点「千客万来施設」は、事業者が都の築地再開発方針に懸念を示して開業のめどは立たず、約10カ月後に迫った移転まで課題はなお山積している。

 小池知事は6月、築地の跡地を食の拠点として再開発すると表明したが、これが千客万来施設の事業者から「競合すれば採算が取れない」と反発を招いた。さらに地下水から有害物質が検出された豊洲の追加安全対策工事では入札不調が相次ぎ、築地の業者は都への不信感を募らせた。

 豊洲市場の地元、江東区には、千客万来施設の整備などの約束を都が果たしていないことへの不満がくすぶる。

 約4000世帯で構成する「豊洲町会」の小安勤会長(70)は「小池知事は築地再開発の構想を撤回すべきだ」。他区の学校に通う子供が、豊洲在住であることでからかわれた事例を耳にしたとし「風評被害の払拭にも努めてもらいたい」と注文を付けた。

 一方、築地市場で働く女性らでつくる「築地女将さん会」の山口タイ会長(74)は「総意が得られていないのに開場日を決めるなんて、おかしい」と憤る。安全性に疑問が残る豊洲への移転を中止して築地を再整備すべきだと訴え、法的措置を検討していることを明かした。