世界貿易は今年も活況 経済成長追い風、懸念は保護主義リスク

提供:ブルームバーグ
上海市にある洋山深水港。堅調な世界経済を追い風に、2018年の世界貿易は勢いが続く見通しだ(ブルームバーグ)

 2017年は世界貿易にとって、貿易戦争勃発の懸念とは裏腹に、活況に沸いた一年だった。18年もトランプ米大統領の保護主義的な方針が影を落としているとはいえ、世界経済の明るい見通しが追い風になりそうだ。

 ◆戦争ではなくブーム

 国際通貨基金(IMF)は17年の世界でのモノとサービスを合わせた貿易量を前年比4.2%増と予測し、16年の同2.4%から上昇するとの見方を示した。世界経済の成長率は3.6%で、貿易の伸び率が経済成長率を上回る見通しだ。これは世界金融危機前には当たり前だったが、今回は14年以来初めてとなる。

 貿易の伸びによって、中国の製造大手や韓国電子機器大手サムスン電子、米重機大手キャタピラーなどが恩恵を受けた。中国の国家統計局が発表した昨年11月の製造業購買担当者指数(PMI)は51.8と、市場予想を上回った。

 証券会社メイバンク・キムエンの調査部門メイバンク・キムエン・リサーチのシニアエコノミスト、チュア・ハクビン氏は「全体像としては、貿易戦争というよりも貿易ブームだ」と評価している。

 だが、保護貿易の脅威が過ぎ去ったわけではない。トランプ氏は、米国が不公平と見なす貿易相手国への批判を繰り返し、自国にとって有利な協定を目指す方針だ。この傾向は続く兆候がいくつかみられている。

 米商務省は昨年11月下旬、中国からのアルミニウム輸入に関する調査に着手した。四半世紀余り使っていなかった権限に基づく異例の調査であり、関税措置につながる可能性がある。

 さらに、米国は欧州連合(EU)と同様の立場を取り、世界貿易機関(WTO)における中国の「市場経済国」の地位認定に反対すると表明した。中国は非市場経済国としてWTOに加盟したが、その取り決めの期限は16年だったと主張している。中国の言い分が認められれば、他国は中国に反ダンピング関税をかけにくくなる。

 再交渉が続く北米自由貿易協定(NAFTA)では、米国が提案中の変更にメキシコとカナダが反対しており、トランプ氏が今後もNAFTA脱退の可能性を示唆し続けるリスクがある。米国は韓国との自由貿易協定の再交渉も望んでいる。

 カナダ大手銀行カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマースのストラテジスト、パトリック・ベネット氏は「米国の動きは、自国にとって不利とされる通商慣行に反対していくという姿勢を示している。保護主義の問題は、金融市場において今後大きくなる可能性がある」と警戒する。

 ◆4.2%から上振れ余地

 トランプ氏が重視するのは米国の成長と貿易赤字の縮小だ。仮に同氏の政策が貿易障壁を高めることになれば、世界貿易のブームに水をさしかねない。

 とはいえ、通商関係の緊張に起因するリスクがある半面で、経済的な展望はこれ以上望めないほど良い。米銀ゴールドマン・サックスと英銀バークレイズは、18年の世界経済の成長率を4%と試算している。

 企業の投資も回復しつつあり、需要増に対応するための投資拡大が経済を下支えするとみられる。世界経済成長の目安となる米キャタピラーの売り上げは、アジア、欧州、アフリカ、中南米など世界各地で増加していることが確認された。

 また、トランプ氏が保護主義的な立場を取っても、通商協定の協議は米国抜きで継続される場合もある。米国が離脱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、米国以外の11カ国が協議を続け、大筋合意した。

 英シンクタンクのオックスフォード・エコノミクスはこのほどまとめたリポートで、18年の世界貿易の伸び率をこれまでの予想より0.5ポイント高い4.2%に引き上げた。「さらなる上方修正の余地もある」とみている。(ブルームバーグ Enda Curran、Andrew Mayeda)