五つ星ホテル、伝統より革新 2018年 業界関係者見通しから大胆予想

提供:ブルームバーグ
マリオット本社で試験的に設置している「IoTルーム」(同社提供)

 2017年に起きた多くの地政学的、社会学的、技術的な変化に対応するため、五つ星ホテルは大小さまざまな形で改革を進めている。代表的な業界関係者の見通しに基づき、2018年にホテルで予想される変化をまとめた。

 米国の主要市場で、18年のホテル料金は一段と高くなる見通しだ。かつてはエキゾチックな場所のみで見られた「リゾート料金」の上乗せが都市のホテルでより一般的になっており、1泊25ドル(約2800円)が加算されることが多い。

 ニューヨーク大学(NYU)のビョルン・ハンソン教授は、ニューヨークで見かけることが最も多いという。同教授は「ターンダウンサービス(ベッドを寝やすいように整えるサービス)をオプションにしているホテルが増えているが、これには2つの理由がある。1つはコストだ」と指摘する。2つ目はプライバシーだという。「備品を整えられるのを好まない人もいる」と同氏はみている。

 IoTルーム登場

 「現在、テクノロジーはあらゆる人にとって優先事項だ」とマリオット・インターナショナルのグローバルブランドオフィサー、ティナ・エドマンドソン氏は話す。サムスンやルグランと協力して作られたマリオットの実験的な「インターネット・オブ・シングス(IoT)ルーム」には、宿泊者の好みの水温を覚えるシャワー、家族写真に交換できるデジタル・ウォールアートなどが装備されている。この部屋は18年に試験的に公開する。

 「エース」や「1ホテル」などのライフスタイルブランドがロビーを共同ワークスペースに変身させる一方で、高級ブランドはおおむね伝統を守ってきた。だが、「これは18年に一変する」とNYUのハンソン氏はみている。旅行者がフォーマルさより親しみやすさを好むようになる中で、チェックイン・デスクは徐々に忘れ去られる存在になると同氏は予想する。実際に、居間のようなチェックインエリアが、パリのオテル・ド・クリヨンなど世界の高級ホテルにも登場している。旅行者の価値観に訴える

 「もはや旅行業」

 18年の早い時期にワシントンにオープンする「イートン・ワークショップ」は、世界初のリベラル向けホテルだ。

 「高級ホテルの顧客は、何かを売るだけではなく、目的意識を伝えるブランドに引き付けられる」とマリオットのエドマンドソン氏は指摘する。ウェルネスの重要性がかつてないほど高まる

 デロイトのギー・ラングフォード氏は「ウェルネス(健康)は次の1兆ドル産業となるだろう。誰もがこの大きな波に乗りたいと思っている」と指摘する。ハイアットは既に伝説的なウェルネスブランド「ミラバル」を買収。JWマリオットはオンデマンドのバレエクラス提供のためにジョフリー・バレエと提携した。

 一方、フォーシーズンズは、脱塩素シャワーやディーパック・チョプラ氏の瞑想ビデオを備えたウェルネスルームを開発した。

 ホテル会社の事業はもはや宿泊だけにとどまらない。「われわれは最近ではホテル業というより旅行業だと考えている」とマリオットのエドマンドソン氏は指摘する。同氏はリッツ・カールトンのクルーズサービスについて、今後2年以内の開始に向けて取り組んでいる。

 ホテル各社は、さまざまな体験や活動を提供することで顧客の旅程を埋めることを狙っている。(ブルームバーグ Nikki Ekstein)