東南ア経済の勢い持続 フィリピン、ベトナム再び6%超成長へ

提供:ブルームバーグ
ベトナムのナムディン省にある縫製工場。東南アジア経済は今年も好調が続きそうだ(AP)

 今年の東南アジア経済は世界的な貿易ブームを背景に、堅調な成長が予想される。域内の一部の国が金融政策の引き締めに動いたり、相次ぐ選挙や北朝鮮問題といった政治リスクなど不確定要素を抱えていたりするものの、市場関係者の間では「好調持続」の見方で一致している。

 非製造に裾野拡大

 ブルームバーグのエコノミスト調査によると、主要6カ国(フィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、タイ、シンガポール)経済のほとんどが昨年の勢いを持続するとみられる。中でもフィリピン、ベトナムは成長率が再び6%を上回る見通しだ。インドネシアも5.3%と伸びがやや加速し、シンガポールとマレーシアは安定した成長になりそうだ。

 東南アジアは輸出依存度が高く、昨年初めは米中貿易摩擦がサプライチェーン(供給網)に打撃を与え、同地域を混乱に陥れかねないと懸念されていた。しかし、2017年は絶好調のまま推移した。

 猛烈なペースで拡大した17年に比べると、今年は緩やかな成長ペースになりそうだ。しかし、製造業など貿易主体の産業に集中していた経済の拡大が、他の分野へと裾野を広げるとみられる。インフレ率が低水準にとどまる見通しと合わせて考えると、東南アジアの緩やかなペースでの金融政策引き締めを支援する材料になるだろう。

 今年、中央銀行が利上げに踏み切る公算が最も大きいのは、フィリピンとマレーシア。シンガポールも中立的から引き締めへと政策スタンスを移す可能性がある。

 インドネシア、タイについては明らかでなく、エコノミストの見方も分かれる。米モルガン・スタンレーのエコノミストらは18年にタイ銀行が金利を据え置き、インドネシア銀行は利上げすると予想。クレディ・スイスのエコノミストらは、タイの利上げを予想する半面、インドネシアは金利を据え置くとみている。

 フィリピンやインドネシアなどの東南アジア各国政府は道路や鉄道、港湾の設備能力を高めるインフラ整備プロジェクトへの投資を増やし、成長につなげようとしている。同時に、当局は財政赤字の拡大を阻止するため、税収を増やす措置を推進する。

 フィリピンでは昨年末、インフラ整備などの財源確保に必要な、促進・包括的税制改革法が成立した。インドネシアは脱税行為の取り締まりを強化、シンガポールは18年度の税制改正で増税を検討している。

 個人消費に疑問符

 ただ、個人消費の回復には疑問符が付く。DBSグループホールディングスのチーフエコノミスト、タイムール・バイグ氏は、東南アジアの一部において「家計債務が消費ペースや景気拡大の裾野を広げる際の支障になり得る」と警鐘を鳴らす。「何らかのマクロ(経済)ショックが発生し、かねて重い債務負担を抱える家計が旺盛な消費を抑え、消費が冷え込むというのが最悪の事態だ」と指摘した。

 シンガポール、マレーシア、タイは域内の他国に比べ、家計債務負担は大きい。家計債務問題が金融安定を損ねるリスクは政策決定の要因になるとマレーシアとタイの中央銀行は認めている。

 メイバンク・キムエン・リサーチのエコノミスト、チュア・ハク・ビン氏は「18年に東南アジアの企業による投資が拡大する」と予想する。中国の習近平国家主席が進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の下で緒に就いたばかりの計画が、「投資拡大を促す可能性がある」と期待している。(ブルームバーグ Michelle Jamrisko)