金正恩氏指示で南北直通回線再開 五輪参加盾に米韓「離反」戦略を本格化

 
再開した南北直通電話で北朝鮮側と通話する韓国の担当者=3日、板門店(韓国統一省提供・共同)

 【ソウル=桜井紀雄、北京=西見由章】北朝鮮は3日、金正恩朝鮮労働党委員長の指示で、南北軍事境界線がある板門店で韓国との直通電話回線の連絡ルートを再開させた。韓国統一省当局者が確認した。金委員長が1日、「新年の辞」で2月の平昌五輪への代表団派遣の用意と対話の可能性を表明したのに対し、韓国政府が高官級会談を提案したことを受けた措置。再開は約1年11カ月ぶり。

 金委員長が対話姿勢に転じたのは五輪参加を盾に米韓の離反を狙っているという見方が強い中、「対話」戦略に本格着手した形だ。

 国営メディアを通じて3日、再開方針を発表した北朝鮮の対南窓口機関、祖国平和統一委員会の李善権委員長によると、金委員長は、文在寅大統領が自身の表明を歓迎して対話準備を指示したことを高く評価。会談について、韓国側と真摯に実務対策を早急に講じるよう党統一戦線部など担当部署に指示したという。

 五輪成功を「心から望む」と述べた金委員長は「関係改善問題が解決するかは、北南(北朝鮮・韓国)当局がいかに責任を持って扱うかにかかっている」とクギも刺したという。新年の辞で、米韓合同軍事演習などの中止も求めており、会談が実現しても、五輪参加に絡め、演習中止を迫る可能性が高い。

 李氏は発表で、文氏を「文在寅大統領」と呼称した。聯合ニュースによると、文氏を「南朝鮮執権者」などと呼んでいた北朝鮮が公式に文大統領の呼び方を使ったのは初めて。

 韓国政府は3日、北朝鮮側の措置について「歓迎する。連絡ルートを通じ、会談に関する実務的問題を協議していく」と表明。韓国外務省によると、康京和外相は同日、ティラーソン米国務長官との電話会談で、北朝鮮への会談提案をめぐる韓国政府の立場を説明、緊密な協調を確認した。

 中国外務省の耿爽報道官は3日の記者会見で、「北朝鮮と韓国が平昌五輪を契機に関係改善や朝鮮半島情勢の緩和、非核化実現のために努力することを中国は支持する」と述べた。

 北朝鮮は2016年、南北経済協力事業の開城工業団地の稼働中断に反発、連絡ルートを遮断した。