高速鉄道受注、日本はインドの「新幹線方式」採用を弾みに 中国攻勢で激戦

 
高速鉄道の起工式に出席し、インドのモディ首相(右)と握手する安倍首相=2017年9月、インド・アーメダバード(共同)

 日本の新幹線方式の採用が決まったインド初の高速鉄道計画が2018年、本格着工する。インフラ輸出を成長戦略の柱に位置付ける日本政府はインドを足がかりに、各国への売り込みに弾みをつけたい考え。だが、アジアを中心とした高速鉄道計画には、コスト面で有利な中国などが猛烈な攻勢を図っており、激しい受注合戦が続きそうだ。

 破格の低金利

 「日本は、ほぼ金利ゼロで資金を提供してくれる」。昨年9月14日、インド西部アーメダバードで開かれた高速鉄道の起工式に出席したモディ首相は安倍晋三首相らを前に、日本の協力に感謝の意を示した。

 高速鉄道はアーメダバードと商都ムンバイ間の約500キロを結ぶ計画で、23年の開通を目指す。総事業費は約9800億ルピー(約1兆7000億円)を見込み、日本は用地取得費用などを除く工事費の約8割を円借款で供与する。金利は0.1%と「破格の低さ」(政府関係者)で、技術研修などの人材育成も行う。

 日本は15年にインドネシア・ジャワ島の高速鉄道受注競争で中国に敗れた。国土交通省の幹部は「(高速鉄道が)開通すれば、新幹線の実力を世界にアピールできる」と皮算用する。

 インドに続き、日本側が熱い視線を送るのが、マレーシアとシンガポールを結ぶマレー半島高速鉄道計画。米テキサス州の高速鉄道や、カリフォルニア州などにも新幹線システム輸出をもくろむ。ライバルになりそうなのが、中国だ。

 「タイの持続可能な発展に寄与し、人々の生活水準の向上に役立つ」。昨年12月21日、タイ東北部ナコンラチャシマ県クランドンで中国が協力する高速鉄道の起工式が行われ、李克強首相のメッセージが読み上げられた。

 タイのプラユット首相は「両国は貿易や投資など、全ての面で良い関係を維持してきた」と応じ、中国との関係の強さをアピール。タイは別路線では日本と協力する「両にらみ」の方針を取り、微妙なバランス外交を展開している。

 他は白紙状態

 日本はインドが計画している残り6路線にも新幹線方式の採用を求めている。だが、交渉に進展はなく「白紙の状態」(インド鉄道省関係者)が続く。日本企業からは「1路線では採算に合わない」との声が上がる一方、低コストを前面に中国や欧州の車両メーカーが受注の機会をうかがう。インドは「国産」を重視しており、車両やシステム技術を輸出したい日本側の考えとは必ずしも一致していない。当初の想定と異なり大部分を高架化する計画となり、事業費の増加も予想され。日本政府関係者は「先は全く見通せない」と話す。(ニューデリー、クランドン 共同)