タイ、EV輸入に規制検討 FTAで中国車の大量流入懸念 トヨタは優遇

 
外資系メーカーの工場内にあるプラグインハイブリッド車生産ライン=タイ東部ラヨーン県(ブルームバーグ)

 タイは、電気自動車(EV)の新たな輸入規制の導入を検討している。工業省は税関当局、投資委員会(BOI)などと、バッテリーに基準を設ける非関税障壁の導入について調整を行っていることをウタマ・サバナヤナ工業相が明かした。中国製EVの大量流入に備えるためとしている。現地紙バンコク・ポストなどが報じた。

 タイは、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国が結んだ自由貿易協定(FTA)により、2018年1月から完成車輸入の関税を撤廃することが決まっている。

 世界最大のEV生産国である中国から比較的低価格のEVが大量に流入することも予想されており、タイ政府は国内産業保護を目的に、非関税障壁の導入に踏み切る見通しだ。

 タイの政府高官は、EV輸入について、中国も政府が認可したバッテリーの使用を義務付ける非関税障壁を設けていると指摘する。タイは、東南アジア地域のEV生産拠点を目指す立場から、同様にバッテリーに何らかの基準を設け、中国製EVの大量流入を防ぐとの方針を示した。

 タイは17年3月、EV生産拠点となるため、電気モーターと内燃機関を組み合わせるハイブリッド電磁自動車(HEV)、外部からの充電が可能なプラグインハイブリッド車(PHEV)、電気だけで走行する純電気自動車(BEV)のEV3種について、生産台数など一定の要件を満たしたメーカーに最大8年の税減免などの優遇措置を講じることを決定した。

 既にトヨタがHEV生産で優遇を受けることが決定しており、現在は他の参加企業を募っている段階だ。

 総合メディア企業UBMアジアのタイ担当者は、輸入によって健全な競争が行われ、インフラの早期充実など市場の形成が早まると指摘する。その一方で、全面的な輸入自由化は生産拠点を目指すうえでタイにとっては不都合が多いとし、「政府が政策や規制による優位性の確保を考慮するのも無理はない」と述べた。(シンガポール支局)