今年も需要堅調、インド消費回復 金、宝飾品と投資で輝き続く

提供:ブルームバーグ
金精製大手アルゴー・ヘレウスの工場に積まれた金塊=スイス南部メンドリシオ(ブルームバーグ)

 2018年の金需要は堅調に推移する見通しだ。短期的な需要見通しに影響を与える主な要因は、米国の利上げと為替の動向だが、銀やプラチナ、パラジウムなど他の希少金属に比べ、循環的な消費の影響を受けにくいことに加え、世界的に低金利が予想される中で金属への投資需要が拡大するとともに、インドを中心に装飾品用途の消費回復が見込まれるためだ。

 産業用途も上向く

 金の最大の需要用途は宝飾品で、希少金属のコンサルティング会社メタル・フォーカスによれば今年の需要全体の49%を占める見通しだ。現物商品への投資が全体の約3分の1、中央銀行による購入と産業用途がそれぞれ8%程度という。ただし、公的な保有目標量は達成済みとみられるため、この需要は縮小傾向が続くだろう。

 産業用途の金消費は減退傾向にあったが、17年から18年にかけて回復に転じる見通しだ。特に金属価格の下落から、エレクトロニクスや装飾用途の消費が上向く可能性が高い。世界の金鉱山大手はニューモント、ゴールドコープ、ハーモニー・ゴールド・マインズ、シバニェ・ゴールド、ランドゴールド・リソーシズ、紫金砿業集団、グレンコアなどだ。

 18年の金宝飾品への需要は、ドル高による買値低下や世界経済の成長から恩恵を受ける可能性がある。16年は世界経済の成長ペースが鈍化して、中国やインドを中心に消費者心理が落ち込む中で金価格が急上昇し、金宝飾品の購入が抑えられた。その後、需要は17年に底を打ったとみられ、メタル・フォーカスによれば、18年には装飾用途の消費量は前年比2%増加して2022トンとなる見通しだ。

 揺るがぬ安全資産

 とはいえ、世界の金装飾品の消費量は過去平均には届かないだろう。とりわけ、消費が多かった13年の2750トンに比べれば、低い水準で推移する見通しだ。

 トランプノミクスや英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)、中国の景気減速、世界的低金利、インフレ圧力、ナショナリズムやポピュリズムといった世界の地政学リスクやマクロ経済の観点から、18年も金の安全資産としての地位は不動と考えられる。中国やインド産を含む金地金や金貨への投資が回復する可能性がある。株式などの他の資産クラスのパフォーマンスが振るわなければ、その可能性はさらに高まる。

 18年の金の現物需要について、メタル・フォーカスは前年比3%増の1171トンと予想している。

 世界的に経済成長の不透明感が広まる中、18年も金の「保険資産」としての魅力が弱まることはないだろう。この不透明感には、北朝鮮問題、利上げを受けたトランプ米大統領の経済政策、英国のEU離脱の影響、資源価格のボラティリティー(変動幅)の拡大、中国の成長鈍化などの地政学的リスクが含まれる。

 昨年11月21日までに金価格は1オンス=1280ドルと、年初から10%上昇していた。しかし18年は、過去数年に比べて金属価格のボラティリティーが高まる公算が大きい。

 金に代わる資産として仮想通貨が関心を集めているが、このブームが今後も続くかは時間の経過とともに明らかになるであろう。ビットコイン価格は10年7月から17年11月21日までの約7年間で、10253679%上昇した(1BTC=8203ドル)。同期の金価格の上昇率は6083%だった(1オンス=1258ドル)。12年12月末以降の比較では、12年から16年にかけて世界の金属への個人投資額が年間20%のペースで減少して金価格が24%下落したのに対し、ビットコイン価格は60618%上昇した。

 価格上昇は抑制か

 一部の投資家は金を、デジタル通貨と異なる伝統的な価値保存手段ととらえ、とりわけ為替とインフレに対してヘッジ可能な本来の安全資産とみている。地政学的危機の時代にあっては、金は歴史的に流動性を確保できる「保険」の役割を果たしてきた。

 世界市場ではいわゆる「恐怖」レベルを測る指標として、金価格と「恐怖指数」と呼ばれる「CBOEボラティリティ指数(VIX)」が用いられることが多い。しかし、北朝鮮の弾道ミサイル発射や核兵器開発計画のリポートにもかかわらず、11月21日時点の金価格(1オンス=1278.33ドル)とVIX(10.38)は16年の最高値をともに下回っていた。

 歴史的に、投資家は危機の時代に保険および逃避先として金属を保有する。VIXには、市場のリスク水準とS&P500種株価指数のボラティリティーが反映される。

 16年6月に行われた英国のEU離脱の是非を問う国民投票の後、金価格が1366.33ドルへ急騰した。一方、トランプ大統領の選挙戦勝利後もVIXは14を上回るままだった。今後も安全資産としての金の買いが続くとみられるが、ドル高への戻りとボラティリティー拡大で、価格上昇が抑えられる可能性は残る。(ブルームバーグ Eily Ong)