経団連、異例の賃上げ3%言及 春闘方針「社会的期待として前向き検討」
経団連は16日、2018年春闘の経営側方針となる「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」を発表した。安倍晋三首相による経済界への「3%の賃上げ」の要請を「社会的な期待として意識しながら前向きな検討が望まれる」との基本的な考え方を示した。賃上げを呼び掛けるのは5年連続となる。経団連が具体的な賃上げ水準に言及するのは異例だ。経団連と労働側代表の連合は23日に会合を開き、春闘が事実上スタートする。
経労委報告では「好調な海外需要や円安に支えられ、企業全体の収益は過去最高を更新し続けている」との認識を示し、賃上げの勢いを強化し、デフレの完全な脱却に貢献すべきだとしている。
首相要請の3%賃上げについて、経団連は「3%は象徴的な数値」と位置付け、各社が達成すべき数値とは規定はしていないという。ただ、大企業では過去4年間、2%を上回る月例賃金の引き上げを実施しているなかで、これを上回る賃上げに取り組むべきだとしている。
16日、会見した経団連の工藤泰三副会長(日本郵船会長)は「賃金が上がり続けると感じられるかが重要。賃上げを継続させていく経営側の前向きな姿勢が必要だ」と強調した。
経団連が、具体的な賃上げ水準を経労委報告に盛り込んだのは、長年の日本経済の重しとなっていたデフレ脱却が果たせる「極めて重要な時期」(経団連の榊原定征会長)となっているからだ。過去4年間よりも大幅な賃上げを実施して個人の消費意欲を喚起し、経済の好循環を回すことを強く意識している。
18年3月期の上場企業の収益が過去最高を更新する見通しであることも追い風となり、春闘を前に賃上げに言及する経営トップは例年より多い。
サントリーホールディングスの新浪剛史社長は18年度に年収ベースで3%賃上げを目指す方針を示した。大和証券グループ本社の中田誠司社長は「月収と一時金の組み合わせで、平均で3%超。20~30代には5%ぐらいの水準を検討」と話す。数字こそ挙げなかったが、花王の沢田道隆社長も「処遇改善は続ける」と語った。
ただ、賃上げが実施されたとしても、将来不安が根強いなかでは、消費が拡大につながらないリスクもある。経団連は経労委報告の中で、年金などの社会保障制度の持続に向けた抜本改革を政府に求めており、双方の問題解決がデフレ脱却に不可欠だと強調している。(平尾孝)
■春闘における経団連の基本姿勢と賃上げ率(基本姿勢/賃上げ率)
2013年 ベースアップ実施の余地はない。定期昇給の扱いが論点/1.83%
14年 業績好調企業は賃金引き上げを検討/2.28%
15年 ベアは賃金引き上げの選択肢の一つ/2.52%
16年 15年を上回る年収ベースの賃金引き上げ/2.27%
17年 年収ベース引き上げ。定昇、ベアなどが柱/2.34%
18年 3%賃上げの社会的期待を意識し前向きな検討/?
※賃上げ率は、定昇とベアを含む大手企業妥結額(経団連集計)の前年比伸び率
関連記事