28年度成長戦略、重点項目4割が「未達」 遅れ目立つ農業分野、未来投資会議
政府は1日開いた未来投資会議(議長=安倍晋三首相)で、平成28年度の成長戦略で示した134の重点項目のうち、4割にあたる54項目が「未達」だったと発表した。遅れが目立ったのは農業分野の改革などで、6月ごろの成長戦略策定に向け、議論の参考とする。会議では、看板政策「生産性革命」の具体化に向けた議論も始め、各省庁で進める取り組みが報告された。
「行政は民間の努力を後押しするエンジンにならなければならない。柔軟な発想力と大胆な実行で改革を前進させてもらいたい」
安倍首相は会議で関係閣僚にこう指示した。
政府は28年度に示した重点項目について、今年1月時点での進(しん)捗(ちょく)状況を評価。目標水準を超える進み具合を示していたのは全体の45%にあたる60項目で、40%(54項目)は水準に達していなかった。残り20項目は、データの取得がまだできていないなどとして、評価を見送った。
農業分野では、コメの生産コスト削減や農業法人の増加、「6次産業化」の市場規模、農林水産物の輸出などの目標が達成できなかった。中小企業の黒字化やサービス業の生産性向上でも改革が進まなかった。
これに対し、訪日外国人客数の増加や製造業の生産性向上、中小企業の海外展開といった項目は目標水準を上回っていた。
茂木敏充経済再生担当相は会議後の記者会見で「進捗が足りない理由をしっかり分析し、生産性革命の政策を迅速かつ着実に実行していきたい」と話した。
また、会議では「生産性革命」実現に向けた具体策が報告された。経済産業省は法規制を一時的に適用しない規制緩和の新制度「サンドボックス」導入に向け新法成立を目指す方針を説明した。林芳正文部科学相はプログラミング教育の推進や、大学改革を通じた若手研究者の活躍促進などを手がけていくとした。
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