【世界株安】株高の構図「反転」の岐路 米長期金利急上昇が引き金 楽観論修正
昨年以降の世界株高の流れに異変が生じている。米長期金利の急上昇を発端とした株式市場の動揺は収まる気配がなく、5日の米ダウ工業株30種平均は過去最大の下げ幅となり、続く6日の日経平均株価も下げ幅が一時1603円に達するなど、総崩れの展開。世界経済の拡大基調は変わりないが、株式市場に追い風となる低金利を一つの支えとしてきた株高の構図は「反転」の岐路を迎えた。(森田晶宏)
6日、東京・丸の内の大手証券会社で機関投資家に対応する株式トレーダーが詰めているフロアでは、担当者らが電話対応に追われ通しだった。大型モニターに映し出された東京市場の銘柄は売り一色。「朝から疲れ切った」-。ある市場関係者はこう漏らした。
昨年以降の世界株高を支えてきたのは、世界景気の拡大が続く中で低金利と株高が共存する「適温相場」と呼ばれる状態だ。最近の米長期金利の急上昇が前週末2日と週明け5日に2営業日連続でダウ平均が急落した引き金となった。2日には1月の米雇用統計が想定以上に好調だったことで長期金利の上昇が急加速し一時は2・85%台と約4年ぶりの高水準となった。
長期金利の上昇は、株式市場からの資金流出につながりやすい。企業の資金調達コストが増えて収益を圧迫するほか、国債利回りが上昇すれば相場変動リスクの大きい株式に資金を投じる動機が薄れるためだ。
ダウ平均は、2万5千ドルに乗せてからわずか8営業日で2万6千ドルを突破するなど、年初からの上昇ピッチが速く、米長期金利の急上昇は利益確定売りを出す絶好の材料となった。わずか2営業日で、年初からの上げ幅がすべて消えた。
日本株は売買代金の約7割を海外投資家が占める。米国株急落などに伴う損失を穴埋めするため、値上がりしていた日本株に売り注文を出したとみられる。
今後の株式市場はどうなるのか。みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「米国、日本とも、行き過ぎた楽観論を背景とした急激な株価上昇に修正が起きている」と指摘。その上で、「これまでの上昇ピッチが速すぎた分、下落が行き過ぎる恐れはある。激しい相場展開がしばらく続く」との見方を示す。
一方、岡三証券の小川佳紀日本株式戦略グループ長は「株高を支えてきた世界景気の拡大という前提は崩れていない。足元の嵐が過ぎ去るのを待って、落ち着きどころを探っていく展開になるのでは」と話した。
関連記事