【世界株安】日銀、金融緩和手じまいの“出口”探しに逆風 身動き取れず緩和拡大論も

 
日本銀行の黒田東彦総裁

 世界的な金融市場の混乱で、日銀は大規模な金融緩和を手じまいする「出口戦略」の検討が一層困難になりそうだ。市場では米欧に続き日本でも金融政策の正常化が始まると見る向きが強かったが、景気が後退局面に入ればむしろ追加緩和を求める声が強まる。銀行の利ざや(貸出金利と預金金利の差)縮小など大規模緩和の副作用が指摘される中、打てる手は少なく、難しいかじ取りを迫られる。

 「将来にのりしろを作るため時期尚早に金融政策を転換することは良くない」

 日銀の黒田東彦総裁は6日の衆院予算委員会でこう述べ、大規模緩和を粘り強く続ける考えを強調した。

 年明け以降、金融市場では日銀が年内に緩和縮小に踏み切るとの見立てで国債が売られ、長期金利の上昇と円高が進んだ。足元の景気拡大は戦後2番目の長さとなり、将来の危機に備え追加緩和の余地を作るだろうとの読みが背景にある。

 日銀はこうした市場の思惑を牽制するが大規模緩和の副作用を懸念する声も強まり、黒田総裁が1期目の任期を迎える4月以降の新体制で徐々に政策調整を進めるものとみられていた。

 だが、昨年来の世界同時好況が暗転し、潮目が変わってきた。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「今回の景気拡大局面では利上げできないまま終わる」と予想する。

 むしろ景気刺激のため緩和策の拡大が期待される可能性がある。政策の余地が限られる中、河野氏は追加緩和の手段として短期金利をマイナス0・1%にするマイナス金利政策の深掘りや、上場投資信託(ETF)の年間買い入れ額約6兆円の拡大を例示。ただ、いずれも金融機関や株式市場に与える副作用が懸念され、反発が起きそうだ。

 今回の株安が本格的な景気後退につながるのか、現状では不透明だ。大和総研の小林俊介エコノミストは「混乱はあくまで一時的」と指摘。市場が落ち着けば出口戦略の検討を再開できるとみている。

 とはいえ市場の混乱を避けるため「当面は議論を凍結せざるを得ない」(小林氏)のも事実。日銀にとって身動きがとれない悩ましい時期が続く恐れがある。

(田辺裕晶、米沢文)