韓国のパスポート、世界ランク3位の実力 「口コミ」がカギ握る外国人誘致
昨年1年間に海外に出掛けた韓国人の数は延べ5344万人で、この国の総人口(5100万人)を上回った。2013年に初めて3千万人を突破して以来、急増傾向が続く。国民の海外旅行への旺盛な意欲を示すものだが、韓国の国際信用度が上がり、ビザなしで行ける国の数を比較した世界のパスポートランキングで3位になったことも背景にあるかもしれない。パスポート1枚でほとんどの国に行けるのだから。一方で訪韓外国人客は減少する。ならば、韓国が魅力的な観光地であることを国民に呼びかけ、国内旅行を促してはどうか。これだけ海外に出掛ける国民が多いのだから、口コミで外国人にも韓国の魅力が伝わるかも。
総人口を上回る韓国人が海外に渡航
韓国法務部が1月24日発表した昨年の出入国者数に関する統計資料によると、海外に出掛けた韓国人の数は5344万人で前年比17.9%増加したという。海外旅行者増加などの影響で年間出国者数は2013年に初めて3千万人を突破。16年は4千万人、昨年は5千万人を超え、急増傾向にあるとしている。聯合ニュース(日本語電子版)など韓国メディアが報じた。
その一方で外国人入国者数は大幅に減少し、前年比22.2%減の2696万人だった。外国人入国者数は12年に初めて2千万人を、16年には3400万人を超えたが、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に反発する中国政府の報復措置の影響から中国人入国者が減少し、15年(2726万人)の水準まで落ち込んだ。
THAAD禍で外国人観光客の減少傾向はあらかじめ予想されたことだが、海外に出掛ける韓国人の数は想定以上のスピードで増えているのかもしれない。なにせ、5100万人というこの国の総人口を上回る韓国人が出国しているのである。
ビザなしで178カ国に行ける
大胆な推測をしようと思う。実は韓国に対する国際信用度が急上昇したため、ビザなしで渡航できる国の数を比較した「世界のパスポートランキング」で3位になったことが、出国する韓国人を急増させている大きな要因なのではないか。
今月、米CNN(日本語電子版)は、「日本のパスポートは世界最強、180カ国のビザ免除」という見出しの記事を掲載した。それによると、ビザなしで渡航できる国の数を比較した世界のパスポートランキングで、日本とシンガポールがトップに立ったという。
ランキングは市民権や永住権の取得支援を手掛けるヘンリー&パートナーズがまとめた。今年2月版の報告書によると、日本とシンガポールのパスポートは、ビザなしで渡航できる国がそれぞれ180カ国と最も多く、2位のドイツの179カ国を抜きトップに立った。3位は韓国、デンマーク、フィンランド、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデンが並び、ビザなしで渡航できる国は178カ国としている。
CNNは韓国が伸びた背景には触れていないが、日本とシンガポールのランキングが上昇したことについて専門家に取材。シンガポール国立大学のパラグ・カーンナ氏が「国民が主にビジネスと投資活動に関心をもつ、平和的な商業大国と見なされている」と解説している。韓国にも同様のことが言えるかもしれない。
韓国に対する国際信用度が上がり、さらに国民の成熟ぶりも背景にありそう。しかも、パスポート1枚でほとんどの国・地域に行けるのだから、ビジネスや観光で海外に出かける機会が増えても不思議ではない。
海外に行く韓国人に自国の魅力語らせては…
ただ、海外渡航者の増加は、韓国の観光業界にとって決して良いことばかりではないだろう。多くの外国人に訪韓してもらうため、あの手この手と策を練らなければならないのが実情である。
聯合ニュース(日本語電子版)など韓国メディアによれば、韓国観光公社は、2017年に韓国を訪れた外国人観光客数を前年比22.7%減の1334万人と集計。中でも中国人客は48.3%の急減で417万人にとどまったという。これはTHAAD禍が理由だろう。日本人客も年初こそ増加傾向だったようだが、北朝鮮のミサイル発射への懸念などから5月以降は訪韓を控えるようになり、年間では前年比0.6%増にとどまっていた。
韓国政府や観光業界はこぞって「中国人が来ないのなら、日本人」「東南アジアからも」などと躍起になるが、観光客は別に韓国人でもいいはずである。観光収入に国籍は関係ないだろう。いっそ、韓国、ソウルが魅力的な観光地であることを自国民に呼びかけて、国内旅行を促してみてはどうか。
1年間で延べ5千万人以上の韓国人が海外に出掛けるのだから、その渡航先でPRしてもらえば口コミで外国人に韓国の観光地の魅力が伝わる可能性だってある。何事もまずは足下を固めることが大切なのかもしれない。
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