経産VS環境、石炭火力新設で対立 CO2削減優先か、エネ安定供給か
政府がエネルギー基本計画を見直す中、石炭火力発電の新設をめぐり、環境省と経済産業省のさやあてが激化している。国際世論の高まりを背景に二酸化炭素(CO2)排出削減を最優先する環境省とエネルギーの安定供給や経済と環境の両立を重視する経産省の対立は、国内の発電事業者の計画にも揺らぎを生んでいる。
現行のエネルギー基本計画では、石炭火力について原子力と並んで「安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源」としており、経産省は新たな基本計画でもこうした位置づけを維持する見通しだ。
一方、原子力比率をめぐり経産省と対立してきた環境省は反石炭火力の攻勢を強める。地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」のルール作りの交渉期限が今年末に控えており、欧州連合(EU)を中心に脱炭素に向けた国際世論が勢いを増しているからだ。
温室効果ガス削減目標の上積みを各国が議論する中、EUのワークスマン気候変動首席交渉官は「十分な資金があるのに、なぜ再生可能エネルギーの普及を支援する方向にいかないのか」と、経産省が主導する日本のエネルギー戦略に疑問を投げかける。
国内では40件以上の石炭火力発電所の建設計画が進む。中川雅治環境相は1月、中国電力が増設を計画する大型石炭火力発電所の三隅発電所2号機(島根県浜田市)の環境影響評価(アセスメント)手続きで、CO2の排出削減が進まなければ「建設は容認されるべきではない」とする意見書を世耕弘成経産相に提出した。中川環境相は昨年8月にも、中部電力武豊発電所5号機(愛知県武豊町)で、具体的なCO2削減策を求める意見を出している。
ただ、太陽光発電など再生可能エネルギーが割高かつ不安定な現状では、経産省が主張する発電効率の高い石炭火力への切り替えは国際的なCO2削減に向けた現実的なアプローチでもある。日本は、世界全体でCO2を削減する実質的な方策を策定し、国際社会を主導するエネルギー戦略を示すことが求められている。(高木克聡)
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