大阪の公示地価トップ、初めてミナミがキタを抜く 訪日客の勢い反映、外資が熱視線

 
平成30年の公示地価で、大阪で最高価格となった商業ビル「クリサス心斎橋」=大阪市中央区(須谷友郁撮影)

 国土交通省は27日、今年1月1日時点の公示地価を発表した。関西圏では、訪日客が集まる観光地などの地価上昇が顕著となり、全国の商業地のうち京都府が上昇率トップの6.5%、大阪府も4.9%上昇した。近畿2府4県の地点別の価格では、大阪屈指の繁華街・ミナミが大阪駅に近いビジネス街・キタを抜き1位となった。大阪市北区以外の地点が最高価格になるのは、昭和45年の調査開始以来、初めて。

 ミナミ「まだ伸びしろある」

 大阪の最高価格は商業ビル、クリサス心斎橋(中央区)で、1平方メートルあたり1580万円。道頓堀川にかかる戎橋(えひすばし)に隣接し、ファストファッションショップや飲食店が入居している。昼夜問わず訪日客が行き交う立地で、現在は外資系ファンドが所有している。平成25年から昨年まで最高価格地点だった複合商業施設、グランフロント大阪(北区)を初めて抜いた。

 大阪府を訪れる訪日客は年々増加しており、昨年1千万人を超えた。中心部の御堂筋沿いの商業・オフィスビルには近年、海外投資家が注目し、外資系ファンドが取得後、有名ブランドのテナント誘致やビル改装で価格を上げて売却する例が相次いでいる。

 米不動産サービス大手、JLL関西支社の秋山祐子・アソシエイトディレクターは「大阪は経済規模に比べ、まだ不動産投資額が小さい。訪日客に知名度の高い大阪・ミナミは、海外投資家を説得しやすく伸びしろがある」と話す。

 賃料上昇に“悲鳴”も

 道頓堀や黒門市場などの観光スポットがあるミナミは、訪日客に特に人気のエリアだ。旺盛な消費や宿泊需要を見込むドラッグストアやホテルの出店競争も地価を押し上げている。

 昼夜問わず訪日客でにぎわう心斎橋筋商店街には、全国チェーンのドラッグストアが出そろい、中国語や韓国語が飛び交う。平成16年から西心斎橋に本店を置く関西アーバン銀行の山本浩之常務執行役員は「収益性の高いドラッグストアかカプセルホテル以外では採算が合わないほど、賃料が上昇している」と内情を明かす。

 観光庁の調査によると、宿泊施設の平均客室稼働率は大阪府が83.1%で昨年に続き全国トップ。訪日客に日本文化を感じられるサービスを提供する道頓堀ホテル(大阪市中央区)は、年間を通じてほぼ満室状態で、平成28、29年の両年、西心斎橋と恵美須町に新たにホテルを開業した。運営会社の橋本明元専務は「土地を見つけられたのは奇跡。旅行客には、ビルが並ぶキタより大阪らしさを味わえるミナミが人気」と話す。

 キタも緩やかに上昇

 一方、キタは店舗やオフィス、ホテルと幅広い需要でゆるやかに地価が上昇している。ミナミは訪日客需要で急伸するが、地点ごとではまだ価格差が大きい。

 大阪が誘致を進める2025年の国際博覧会(万博)など、観光需要の先行きが今後の不動産価格に影響を与えそうだ。